POLAR SHORTCUTの2022年を振り返る。まだまだ一合目。
はじめに
株式会社POLAR SHORTCUT(ポーラー・ショートカット)の大久保です。2022年は昨年立ち上げたベンチャーキャピタル(VC)ファンドの投資スタイルを模索し続けた1年間でした。
年末ということで、当社の今年の取り組みをダイジェストで振り返っていきたいと思います。
"共同創業型投資モデル"への挑戦
実は北海道へUターンする前から構想があって、ようやく実現できたのがこれです。ざっくり言うと「特定の業界に深い知見があり、強い課題感を感じている人」を見つけてきて、一緒に新規事業の企画を進め、可能性が見えた段階で起業していただき、当社ファンドから投資する、という創業支援モデルです。
その第一弾が(株)プレスリー。取り組みは北海道新聞にも掲載いただきました!
昨年のファンド立ち上げから1年以上に渡り、北海道内の様々なスタートアップ起業家や起業家予備軍の方とお話をさせていただきました。
その結果として、当社ファンドの投資対象となるような起業家の絶対数が少ないことを改めて感じた一方で、「起業や資金調達を考えたことがない人の中にも、特定の業界に深い知見があり、課題の着眼点や顧客の解像度が高い、スタートアップ起業家向きの人材」がチラホラいることに気づきました。
そういった方々は概して、経営や事業作りの経験はあまりなく、大きな手持ち資金もありません。もっと光り輝けることに本人ですらまだ気がついていない、ダイヤモンドの原石です。
当社ファンドとしては、そのような人たちにプレシード投資を行うことで、北海道の起業家の裾野を広げていきたいと思っています。
共同創業型投資モデルは、そのような原石タイプの人材に着目し、創業前から一緒に事業案の磨き上げを行いつつ、資金・人脈・経営ノウハウを注入することで、ブーストさせる仕組みです。
東京に最近増えてきたような「満遍なく能力が高いスマートなタイプの起業家」には、このような支援は必要ありません。
ですが、そもそもの起業家の数が圧倒的に少ない「地方」を舞台にスタートアップ起業家を増やしていくには、このようなアプローチが非常に効果的だと考えています。
今回投資した(株)プレスリーが次のステージに進む頃には、この投資コンセプトの正しさが証明されているはずです。
▼より詳しく知りたい方はこちらのnoteをチェック!
投資先もしっかり活躍中!!!
上述のプレスリーと合わせて、現在当社ファンドの投資先は4社となっております(1社はまだ情報非公開)。
そのうち、昨年投資したTREASURE IN STOMACHとFantの2社は既に事業拡大フェイズに入っており、この1年間で大きく成長しました。
TREASURE IN STOMACH(CHAT)
ご存知の方も多いと思いますが、2022年10月より札幌三越に店舗をオープンしました!
よく勘違いされがちなのですが、CHATの札幌三越店は期間限定のポップアップショップではなく、常設店舗として、モロゾフやゴディバのような一流ブランドと並んで商品を提供中です。
クリスマスシーズンでもある12月は過去最高売上を大幅に更新し、"街のお菓子屋さん"を超えて次のフェイズへと舵を切り始めました。
来年はさらなる事業展開へ向けての仕込みが進んでおり、大きな飛躍の予感…!北海道発のヴィーガンスイーツブランドの新たな物語に注目です。
Fant
Fantも同じく2022年10月に、ハンターと飲食店をマッチングするWebアプリ(https://fant.jp/)を正式にリリースしました。現在はユースケースを考慮し、スマートフォンでの利用に最適化されています。
投資した昨年末の段階ではまだ構想のみでしたが、すすきのの名店「生ラムジンギスカン山小屋」や、帯広の北の屋台にある「煙陣」など人気の飲食店での取り扱いが今年からスタートしています。
拠点がある上士幌町だけでなく、北海道各地に提携の食肉処理施設が徐々に増えてきており、供給の体制が整い始めました。来年は本格的に取り扱い飲食店の数を増やしていく予定です。
ジビエ料理の提供に興味がある飲食店さんはぜひ、information@fant.jpまでご連絡ください!
▼ローカルビジネスサテライト(LBS)をはじめ、2022年はたくさんのメディアに取り上げていただきました!
そして、しれっと書きましたが実はもう1社、とある産業領域の変革を目指すスタートアップにステルスで投資をしています。
この企業も成長可能性がとても高く、北海道にとってロールモデルになり得る起業家です。早く情報公開をしたい….. こちらもお楽しみに!
前進する北海道のスタートアップ・エコシステム
当社の情報発信で、今年一番の反響だったのが、この「札幌・北海道スタートアップ地図」です。多方面で半オフィシャルな情報として活用いただいており、作成者としては嬉しい限り!!
リリースした2022年7月時点では、北海道のスタートアップの数を、札幌に27社・札幌以外のエリアに12社、合計39社として掲載しております。
その後にもいくつか資金調達リリースがあったので、来年アップデートするタイミングではもっと数が増えていそうですね!
この地図をきっかけに、メディアの方からのお声がけも増えました。
つい先日は、NHK北海道に特集を組んでいただき、地図の中で注目スタートアップとして取り上げた「ふるさと納税×NFT」のあるやうむの取り組みと共に、POLAR SHORTCUTの取り組みを取り上げていただきました(私がトコトコ歩く姿が比較的好評でした…笑)。
地方でスタートアップを立ち上げることのメリットの一つが、新聞やテレビなどのマスメディアが積極的な援護射撃をしてくれることです。地方では広報のレバレッジがめちゃくちゃ効くことを実感しています(最近、東京から室蘭にオフィスを移転したドゥーファの一戸さんも同じようなことを言っていましたね)。
また、スタートアップ投資のプレイヤーとしては、地域のスタートアップ支援に積極的に取り組むサツドラホールディングスが、2022年10月についにCVCとして「S Ventures」を立ち上げました。
つい先日も北海道電力がJAFCOへのLP出資を発表していましたが、地元の有力企業がスタートアップ投資へ目を向けることで、エコシステムが成熟していくのは間違いありません。これからの動きに期待です。
その他、遠征活動など
11月にはしばらく、宮崎県→鹿児島県→福岡県と九州
巡りをしてました。観光ではなく、仕事&九州のスタートアップ・エコシステムの視察が目的です。
特に福岡県は地方スタートアップ・エコシステムの先進地であり、現地で活躍する多くのプレイヤーの方から伺った生々しいお話は大変参考になりました(敢えてnoteには書かなかった気付きもたくさんありました)。
また、スタートアップとは別文脈でも、地域で新しい取り組みを行なっているプレイヤーが北海道にはたくさんいます。
POLAR SHORTCUTが最終的に目指しているのは、面白いことに取り組むプレイヤーが北海道中に増えて、同時多発的に革新的な事業が立ち上がっていく世界。
そういう意味では、(スタートアップ云々は関係なく)いろいろな地域の状況を自分の目で見ておくことはとても重要だと感じており、今年も北は稚内から東は釧路まで、全道各地に足を運びました。
せっかくなので良い感じの写真が撮れていたエリアを中心に、ちょっとだけご紹介します。
試される大地、北海道。
知れば知るほど、無限のポテンシャルを感じます!!!
さいごに
一通り振り返ってみると、昨年のファンド立ち上げからやれたこと、やり切れなかったこと、学びがいろいろとありました。
北海道における自分のポジショニングがある程度確立できてきたからこそ、ここで手綱を緩めず、2023年はさらに果敢に攻めの姿勢をとっていく所存です。
来年は、より多くのスタートアップへ投資することに加えて、既存の投資先に本当の意味で寄り添い支援していくこと、そしてVC投資以外の手段でも「北海道のスタートアップ支援」に貢献することをテーマに、もがいていきたいと思っています。
何かご一緒できそうな方、取り組みに興味がある、起業したいという方がいれば、ぜひご連絡ください!
Mail:info@polarshortcut.jp
Twitter:@OkbNori
PS:今年は「楽しんで働く」ことが自分のなかで一つのテーマでした。新卒の頃から長くハードワークを続けてきて悟ったことですが、努力している人は、楽しんでいる人には勝てません。
今のところ、ワークとライフを絶妙にインテグレーションできている感覚があり、さらにこのスタイルが自分の強みの一つになっている手応えがあるので、このバランスを来年も引き続き大事にしていきたいと思います。
仕事やプライベートを超えていつもお付き合いしてくれる皆さま、ありがとうございます🙏