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奈良旅 2022秋~④ 奈良ホテルの魅力
奈良市写真美術館をあとにして、夕暮れどきの奈良のまちを眺めながら10分ほど歩くと、今回の宿『奈良ホテル』へ到着しました。
関西の迎賓館として、鹿鳴館の2倍の建設費用をかけ明治42年に開業。この麗しい建物の設計は、東京駅や日本銀行本店も手がけた辰野金吾氏が担当したそうです。
これまで6回こちらのホテルに宿泊していますが、初めて訪れたのは32歳のとき、宿泊ではなくティールームの利用でした。
それまで何度も奈良を訪問していましたが、さすがに奈良ホテルはハードルが高く、宿泊先の選択肢にはありませんでした。
そんなとき奈良ホテルを利用したことがある知人から「ティールームだけでも行ってみたら?とっても素敵よ」とにこやかにアドバイスをもらい、それなら行ってみてもいいかな・・と憧れの奈良ホテルへ足を踏み入れたのです。
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上村松園の「花嫁」が飾られています
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ティールームの窓の外に遊びにくる鹿さんを眺めながらゆったりとした時間を過ごし、すっかり奈良ホテルが好きになりました。それからは友人と奈良を訪れる際にはここが定宿に。
奈良ホテルには本館と新館があり、一般的に写真に使われているのは本館で、木造2階建。玄関を入ってすぐ吹き抜けになっており、奈良らしい照明で灯りがともされています。
日本画が多く飾られている館内はもはや美術館のようで、この絵画をみて回るのも楽しみのひとつです。
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「風立ちぬ」を書いた作家堀辰雄やオードリー・ヘプバーンもこの廊下を歩いたんだと思うと、歩くたびにギシッギシッと鳴るのもなんだか楽しめる。
そしてお部屋がまた・・・すばらしい!
室内はおちついた色調でまとめられ、天井は高く、これぞクラシックホテルといえる雰囲気。建物が古いと水回りが気になりますが、改装で新しくなっており清掃もいき届いているので快適です。
明るすぎる照明が苦手なわたしとしては、このくらいの暗さがちょうど良いし、やっぱり木造の建物は息苦しさがなくて呼吸がとても楽。それに110年前の微生物がこの木材にまだ生息していると思うと、思いっきり深呼吸して自分の身体に取り込みたくなります。
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絨毯が正倉院模様
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対応の良さにも驚きました。ルームサービスを頼もうとフロントへコールした際、ホテルマンの最初のひとことが「はい、〇〇さま、」と名前で呼びかけてくれたのです。そんなことはそれまで経験がなく、これが老舗ホテルのおもてなしか~と感心しました。
最近は食事なしを選択するようになりましたが、朝をしっかり食べたい方には朝食付きのプランがおすすめです。メインダイニングで洋食または和食(白飯or茶粥)が選べます。以前は椅子を引いてもらえたけれど、いまはどうかな?
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今回変わっていたのは、夜のラウンジが宿泊者専用スペースになっていたこと。コーヒーや紅茶、ジュース(部屋へ持ち帰りも可)がフリードリンクとして置かれ、ゆったりとお過ごしくださいという趣向でした。
意外と利用者は少なく、友人とふたり座り心地の良いソファへ深々と腰かけ、温かい飲み物をいただきながら、ブックコーナーにあった奈良の本を眺めて「ここ行ったね、ここは知らないね」なんて話しながら、しばらくまったりと過ごしました。
すてきな宿での時間はあっという間。
本音を言えば、1週間くらいここに滞在したい。
いますぐは難しくても、いつかきっと。
※補足※
今回記事を書くにあたり、SNSへの写真投稿について奈良ホテルへ問い合わせたことろ、とても丁寧な対応をしてくださいました。絵画の写真投稿も問題ありませんとのことでしたので、掲載させていただきました。ありがとうございます。
ー次回は、いよいよ最終回!
<奈良旅 2022秋シリーズ>
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