山種美術館を訪ねて ~東山魁夷と日本の夏~
8月の初旬、東京渋谷区広尾にある山種美術館を訪ねました。
連日の猛暑、東京はいったいどれだけ暑いのだろう?とおそるおそる向かいましたが、朝に雨が降ったのか路面は濡れ、わずかに涼しい風がとおっていました。
よかった、これなら歩けそう。
さて、いま開催中の特別展はというと、
山種美術館で所蔵する東山魁夷作品が全点公開される今展のみどころは、大作の<満ち来る潮>と、京都を描いた<京洛四季>でしょうか。
<満ち来る潮>は今回初めて見ましたが、なんと、幅9メートル超という大きさ!圧倒的な存在感です。
全体を眺めたくて少し離れた場所に立ってみましたが、それでも大きい。
この作品はもともと、”皇居新宮殿にある魁夷の代表作と同趣作品を”という山種美術館初代館長の依頼で制作されたものだそうで、それでこんなにも大きいんですね。
個人的なわがままを言えば、やはりそれなりの広さや天井の高さの場所で見てみたいものです。
それから、もうひとつの代表作<京洛四季>
今回、そのなかのひとつが撮影OKでした。
撮影技術がいまひとつなので、以前のフライヤーから画像を拝借。
このなかでどれか一つ選べと言われたら、断然「冬」ですね。
他の3つは京都でなくても見られそうだけど、この冬景色は京都らしいな、と感じます。(いまでもこんな素敵な街並みが残っているのでしょうか?)
魁夷ゾーンを抜けて、またインパクトの大きい作品がありましたよ!
わたしは今回2度目のご対面。
川端龍子 <鳴門>
六曲一隻のこれまた大迫力の作品!
おもわず目を奪われる鮮やかな青色は、3.6キロもの群青を使って描かれたそうです。
群青色、好きなんです。
涼やかで、この季節に見るのにぴったり。
そして龍子の大胆な海に心弾んだあと、しっとり穏やかな気持ちにさせてくれたのは、わたしの好きな土牛さんでした。
奥村土牛 <海>
土牛は遅咲きの画家として有名ですが、この作品が描かれたのは御年92歳のとき。
山国育ちのわたしは、水平線に憧れがあります。
絶えず揺れる水面、耳に心地よい波の音、
もう何年も海を見ていませんが、こんな感じだったかなと想像しながら眺めました。
土牛のやさしい海、今回いちばんのお気に入りです。
この他、上村松園の<蛍>や、現代作家の京都絵美の<ゆめうつつ>もいいなと思いました。
ミュージアムショップでは土牛のポストカードだけ買うつもりが、誘惑に負けて別のものも買うことに・・・(いつものこと笑)
桔梗は大好きな夏の花ですが、黒で描かれているのがちょっと新鮮。
いつか実際に作品を見ることができたらいいなと、幸運に期待します。
さてそれでは、もうひとつのお楽しみ、~お茶タイム~
毎回迷うオリジナル和菓子、今回もやはり迷いました。
潮風にしようか、さなえにしようか迷った末に選んだのは・・・
上品な甘さのこしあん入り、見た目も美しくもちろん美味しい。一個だけではものたりない、もうひとついただきたいくらいです。
涼しい館内で、至福のひとときを過ごしました。
ありがとうございます。
そして次回の特別展はというと、
最近よく名前を見かける福田平八郎、と琳派。
これはぜひ見に行きたいです。
まだまだ暑い日が続きます。
涼しい快適空間で美しいものを愛でながら、いっとき暑さを忘れるのも良いかもしれませんね。