「変われない」は言い訳にすぎない?
私たちは誰もが「変わりたい」と願っています。しかし、多くの人は「変われない」と諦めてしまっているのではないでしょうか。この「変われない」という思い込みに、アドラー心理学は真っ向から異を唱えます。
「原因論」vs「目的論」:人生を見る2つの視点
アドラー心理学の核心は、「原因論」から「目的論」への転換にあります。従来の心理学では、現在の状態を過去の出来事(原因)によって説明しようとします。例えば、ある人が引きこもりになった原因を、幼少期のトラウマに求めるといった具合です。
しかし、アドラー心理学はこの考え方を「決定論」だと批判します。なぜなら、同じような過去を持つ人々が必ずしも同じ結果にならないからです。そこでアドラーは、「目的論」という新しい視点を提唱しました。
「目的論」:行動の裏にある隠れた意図
目的論によれば、人間の行動や感情には常に「目的」があるとされます。一見、不合理に見える行動も、実はその人なりの「目的」を達成するための手段なのです。
例えば、引きこもりの人が感じる不安や恐怖。これらは「外に出たくない」という無意識の目的を達成するためにつくり出された感情かもしれません。つまり、「不安だから外に出られない」のではなく、「外に出たくないから不安をつくり出している」というわけです。
「変われない」は単なる言い訳?
アドラー心理学の視点に立てば、「変われない」という言葉は単なる言い訳にすぎません。なぜなら、私たちは常に自分の行動を選択しているからです。「変われない」と言っている人も、実は「変わらない」という選択をしているに過ぎないのです。
この考え方は、一見すると厳しく聞こえるかもしれません。しかし、見方を変えれば、これは大きな希望を与えてくれるメッセージでもあります。なぜなら、「選択できる」ということは、いつでも「変われる」可能性があるということだからです。
「変われる」という希望
アドラー心理学は、私たちに「変われる」という希望を与えてくれます。過去にとらわれず、今この瞬間から新しい選択をする。それが「変わる」ということなのです。
もちろん、変わることは簡単ではありません。しかし、「変われない」と諦めてしまえば、そこで可能性は閉ざされてしまいます。まずは「変われる」と信じることから始めてみてはいかがでしょうか。
人生は、過去の出来事によって決定されるものではありません。私たちには常に、新しい選択をする自由があるのです。アドラー心理学が教えてくれるのは、まさにこの「選択の自由」という人生の真理なのです。
参考