高校球児にとって高校3年の夏よりも熱い夏は2度とない
昨年、春夏ともに甲子園が中止となった時、心から感じた憤りは今でもすぐに思い出す事が出来ます。
全ての高校球児に与えられる唯一の特権。それは誰もが甲子園を目指す権利。
そして、甲子園を目指すというのは高校の3年間だけの話とは限らない。テレビで観た甲子園に憧れて小学校から野球を始めていれば、10年近くの時間をかけてきた集大成。そして、その時間は親御さんにとっても同じ時間を過ごしてきた事になる。
地区予選から4000校以上が参加する中、負けないで終わるのは甲子園での優勝校1校だけ。
高校野球の部活動をめぐっては様々な意見が飛び交っているが、一番の意義は「続けたくても諦めなければいけない事がある」というのを教えてもらえる事だと思う。
もちろん負けるのは悔しいが、高校球児にとって高校3年の夏がなぜ絶対的な存在なのか。
野球を始めた時から夢見ていた甲子園出場が叶わないという現実。高校入学時から同じ夢に向かって切磋琢磨してきたチームメートと積み重ねてきた練習の成果が負けた瞬間に途切れるという事。プロや大学に進んで野球を続けるのはごく一部で、大半の球児は高校で一線から退く事となる。
そして多くの球児が、その年の夏の甲子園をテレビ観戦しながら、もぬけの殻のような時間を過ごしている。突然野球という時間を奪われた高校生が酒やタバコに手を出してみる気持ちはよーくわかる。
多くの可能性を秘めている10代という貴重な時間の大半を野球に費やしてきた球児にとって「負けて終わる」というのが、これまでサポートしてくれていた親やチームメートへの感謝の思いに気が付き、区切りを付ける瞬間になる。
今年は選抜高校野球も無事開催され、東海大相模高校が劇的な展開で優勝を決めた。
今は、全国の高校球児が夏の甲子園の地区予選に向けて練習に励んでいる。
今年の夏も高校球児にとって一番暑い夏が奪われない事を心から願っている。
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