【アメリカ生活】隣の部屋が空き巣被害に遭った話
アメリカで、ロサンゼルスの大学の隣にある学生向けアパートに住んでいた時のこと。
私の隣の部屋には日本語を専攻しているクマさんのようなアメリカ人が住んでいて、とても仲の良い友人だった。
ある日、クマさんの部屋の向こう隣のお姉さんが部屋を退去した。卒業したんだと思う。
彼女は、いつもS●Xしている声が廊下中に聞こえるちょっぴり有名なセクシーお姉さんだった。その人の部屋の前を通る時に他の住人とすれ違うと面白がるか気まずいかのどちらかだった。
引越し後は声が聞こえなくなってアパートには平穏が訪れ、クマさんと一緒に当時の思い出をネタによく笑っていた。
そのお姉さんが退去して1週間くらい経ったある日、クマさんが私の部屋をノックした。
「隣の部屋から物音がする。まだ次の入居者は決まってないはずなのに・・・」
そして、部屋の壁に耳を当ててみると・・・
女「こんなことやっぱりやめようよ・・・」
男「静かにしろ!また路上生活に戻りたいのか?」
私たち「?!?!?!?!?!?!」
なんと、ホームレスの男女が空いた部屋に潜り込んでいたのだ。
それを聞いてすぐ、私たちは大家さんと警察を呼んだ。
大家さんは背が高く気の強いロシア人のおばさんで、ほとんど笑わない冷静沈着な彼女の目はプーチンを思わせる。
いつも会う度に(ロシア人って感じだなあ)と思っていた。偏見ごめんなさい。
警察が到着するまで時間がかかったが、それまでの時間はロシア人の大家さんがめちゃくちゃにキレていてその方が怖かった。
ドアは内側からロックされていたが、大家さんはもちろん鍵を持っており、ドアを開錠して引っ張ろうとした。ホームレスカップルも死ぬ気で内側から引っ張る。一人は男なので、力では勝てない。キレた大家さんは完全に頭に血が上って大声で叫びながら、厚手の木製ドアが凹むほどガンガン蹴っていた。(これが一番怖かった)
近隣の部屋の住民が野次馬で見に来る中、しばらくしてからやっと1人の警察が到着。
「警察だ!ドアを開けろ!」
と命令すると、ホームレスカップルも諦めたようでドアを開けておずおずと出てきた。事情聴取を受け、警察の質問にポツポツと答えてから警察が無線で話しているその時、隙をついて2人が逃げ出した。
あっという間に遠くに走り去って行った。警察も後を追ったが1人しか捕まえられず、もう1人には逃げ切られてしまった。捕まった1人はすぐにパトカーに乗せられて行った。
そうして、アパートにまた平穏が訪れた。
その次の日。
またその部屋から物音が聞こえた。
今度はもっと小さな声でコショコショ話しているのしか聞こえなかったが、2人で会話しているのは分かった。もちろん入居予定はまだない。
ハァ、またか・・・と思った私たちは、前日と同じように大家さんと警察に電話。
相変わらず大家さんはガチギレ。大声で叫びながらドアをガンガン蹴る。こんな事でも慣れは怖いもので、昨日の勢いに拍車が掛かり「今度こそ捕まえてやる」という強い意思が窺える良いケリをしていた。
しばらくすると警官が2人現れた。
昨日と同じように警察が呼びかけて中から出てきたのは、なんと、前日とは違うホームレスカップル。まさかホームレスの間で空き物件の掲示板でもあるのだろうか・・・
今度はちゃんと2人とも捕まってパトカーで連行された。
そんなこんなで、私が住んでいたアパートは色んな人に人気の物件だった。
みんな、アパートの空き部屋には気を付けてね。
隣にホームレスが住んでるかもよ。
おわり