2018年 浪江町長選挙 開票後分析
2018年8月5日(日)投開票、福島県 浪江町長選挙は、吉田数博 候補(無所属 新人 / 事実上、自民党が応援)が当選、浪江町議会議員補欠選挙は、大浦泰夫 候補(無所属 新人)が当選した。
2018年 浪江町長選挙
当 吉田数博 5,231 無新 前浪江町議会議員 / 事実上、自民党が応援。
落 吉澤正巳 1,282 無新 非営利型一般社団法人「希望の牧場・ふくしま」 代表 / 元日本共産党員
有権者数: 15,417
投票者数: 6,641
無効投票: 128
持ち帰り: 0
投票率: 43.08%
2018年 浪江町議会議員補欠選挙
当 大浦泰夫 3,398 無新 農業
落 佐々木茂 2,987 無元 元浪江町議会議員
有権者数: 15,417
投票者数: 6,640
無効投票: 255
持ち帰り: 0
投票率: 43.07%
浪江町長選挙も浪江町議会議員補欠選挙も、両方共、一騎打ちだったが、浪江町議会議員補欠選挙では、立候補者の得票数が拮抗しているのに対し、浪江町長選挙では、当選者が落選者の4倍以上の得票と対象的だった。
前回の浪江町長選挙と浪江町で行われた直近の選挙の結果は下記の通りである。
2015年 浪江町長選挙
当 馬場 有 5,786 現職町長(2007年初当選)、元福島県議会議員
落 渡邉文星 1,841 元浪江町議会議員
落 小黒敬三 1,109 前浪江町議会議員
有権者数: 15,761
投票者数: 8,834
無効投票: 98
持ち帰り: 0
投票率: 56.05%
2017年 衆院選 福島5区 浪江町
当 吉野正芳 3703 前 自民党、2017年4月26日から復興大臣
落 吉田 泉 2489 前 希望の党、初代復興大臣政務官
落 熊谷 智 604 新 日本共産党
落 遠藤陽子 419 新 社会民主党
有権者数: 15,789
投票者数: 7,417
無効投票: 202
持ち帰り: 0
投票率: 46.98%
2017年 衆院選 比例代表 浪江町
自民 2,109
公明 864
維新 184
日こ 57
幸福 28
希望 1,780
立憲 1,301
社民 241
共産 565
有権者数: 15,789
投票者数: 7,417
無効投票: 288
持ち帰り: 0
投票率: 46.98%
浪江町における、2017年 衆院選 福島5区の結果では、日本共産党が公認した立候補者と社会民主党が公認した立候補者の得票数の合計が、1,023票だった。
つまり、2018年 浪江町長選挙の 吉澤正巳 候補は、最低でも1,023票は獲得することが予測できた。
実際、2017年 衆院選の時と比べて、投票率が3.91%下がる中、吉澤正巳 候補は、1,282票を獲得した。
吉澤正巳 候補は、組織が無い中、支持を少し広げることができたといえる。
対して、吉田数博 候補は、自民党を中心とする大組織から応援され、自民党支持層、公明党支持層だけでなく、国民民主党支持層、立憲民主党支持層からも得票し、5,231票を獲得したと考えられる。
■ 町民のほとんどが町外に避難中、壊れ行く共同体、下がる投票率。
浪江町長選挙 投票率
2003年 80.34 %
2007年 73.51 %
2011年 無投票当選
2015年 56.05 %
2018年 43.08 %
浪江町議会議員選挙 投票率
2005年 78.03 %
2009年 78.17 %
2013年 53.81 %
2017年 45.21 %
浪江町の人口は、2011年3月11日時点では、21,542人だったが、2017年5月31日現在の住民基本台帳上の人口は18,256人、実際の居住人口は、僅か234人である。
2018年6月30日時点では、浪江町内の居住人口は、553人となっている。
浪江町は、2011年以前では、町長選挙、町議会議員選挙の投票率は70~80%台が当たり前の地方自治体だったが、2011以降は、年を追う毎に投票率が下がり、今回の町長選挙では、43.08%となった。
今回の選挙結果と投票率は、町民の疲れ、諦め、3.11の時の怒りや苦しみの風化、ふるさとへの帰属意識の薄れの表れなのかもしれない。
吉澤正巳 候補は、選挙のシステム上は敗れたが、浪江町、そして、福島県に、希望の種を撒いた。
東京電力への「精神的苦痛の慰謝料」請求金額を50%(月額5万円)増額、放射性物質を含む汚染水の海への放出反対、多収品種米等から生成するバイオエタノールの主要産業化、これらの政策は、今後も福島県、そして、日本国が議論していくべきことだ。
福島県知事選挙は、2018年10月11日告示、10月28日投票。福島県議会議員選挙は、2019年11月中旬に行われる。
吉澤正巳 候補が撒いた希望の種が、発芽し、大きく育つかどうか、注目である。
■ 『8.6 浪江町長選挙を終えて』(吉澤正巳 / 2018年8月6日)
国家による巨大プロジェクトにより、共同体や自然環境が破壊されることは、福島県内や、原発立地地域に限ったことではなく、全国で起こり得ることだ。
例えば、ダム建設により水没した地方自治体は、過去にも存在したし、八ッ場ダム建設により、水没する予定の地域もある。
沖縄県では、在日米軍のための辺野古の新基地建設が強行されている。
リニア中央新幹線の建設工事により、河川の流量減少、水質悪化、生態破壊、鉱山からの有害物質の検出、騒音、電磁波、残土の処理問題等が発生し、破壊される地方自治体も出てくるだろう。
人々の生活や、自然環境を破壊するような、国家による巨大プロジェクトは、予め察知し、迅速に多くの人に拡散し、阻止しなければならない。
明日は我が身、手遅れになってからでは遅いのだ。
お読み下さいまして、ありがとうございます。