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【 詩 】 石打つ親父
夕焼けに向かって
石打つ親父
彼の金属バットが
金色にきらめいて
夕焼けに向かって
石打つ親父
バット振り回す彼の
3メートル横に建っている
ビニールシートの家に
彼は住んでいる
夕焼けに向かって
石打つ親父
キンと鋭い音を残して
飛び去った石が
はるか向こうの川面に
無数の同心円を描くのだ
がんばれ石打つ親父
夕餉のしたくは済んだか
がんばれ石打つ親父
親は子はつれあいは元気か
がんばれ石打つ親父
突っ張る頭皮を夕焼けに染めて
がんばれ石打つ親父
大事な手紙がその家に
きちんと届くか心配だ
そんな30秒を共に過ごして
無責任に僕は立ち去る
それで彼はまた打ちつづけ
河原の石を全部
向こう岸に引越しさせるつもりだ
立ち去る僕の後ろを
キンという音が
人なつっこく
ずっとずうっとついてきた
僕は彼を
ほんの少しも知らない
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