確かな記憶
ママはいつも、して貰うことを期待している。面倒くさいこと手間がかかることは不得手で避けながら生きてきた。
して貰って当たり前でして貰えなかったらそのままにしておく。
それは発育環境が誘導したんだろうと思う。
両親は商売で忙しく、年の離れた兄弟たちが多くお姫様みたいな扱いだったから自動的にそうなったんだろうと思う。
私が母と叔父叔母に会った時も、そう感じた。
ママちゃんはしょうがないねぇ、と40才を超えても言われていた。なので何かあるといつからか法事などの親戚の集まりで九州へ行くと、私はレンタカーの手配から運転から色々とした。
ママは免許は持っていない。
取らなかったの?と聞いたのは小学生だった私。
乗りたい時にここに来ればいつでも乗せてあげるから免許取らなくていい、と仮免合格した後、講師に言われたとママは答えた。
その時は
ふうん、と思ったが今ではその講師に半分感謝している。
その方は見抜いたのかもしれない。
ママのちょっと斜めな感覚を。
友達がお母さんが車で迎えに来る、と聞くと羨ましくて何でママは免許持ってないんだろうと思っていたが、大人になってからは取らなくて良かったのではないか、と
真剣に思う。
ママの視界と思考は
見えなかった、判らなかった、で
終わるからだ。
見えないなら止まらなきゃいけないとか
判らないなら確かめなくちゃいけないとか
そうはならない。
ママが見たときは見えなかった、が事実でそれしかなく、もしかしての予測はない。
私は反対にもしもこうなったらがたくさんの有りすぎて、もしもパターンが3つも4つも頭をぐるぐる回るが、安全に運転するという点に於いては大切だと思っている。
免許を取ろうという若者に
取らなくていいよいつでも乗せてあげるからと言った講師の方の観察眼に今更ながら感謝したい。
そんなママは
今日は静かにテレビを見ていた。
あちこち鉄砲玉のように出歩いた頃と何もかも違っているが、安全に越したことはない。
ふっと思い出した確かな不思議な記憶。
合格しても免許って取れないの?という疑問は大人になって、合点がいった。
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