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遠くの誰かの自死は妙に、余計なノイズが削ぎ落とされ洗練された哀しみを持つ。 誰かが死ぬことを決意した、その夜のことを想った。死の決意は、生きていた彼らのさいごの煌めきだ。死を認識するということは、生きていることの証なのだから。 夜の闇で小さく光る家々の、その灯りの中で誰かのさいごの煌めきを見失う。 決意は誰にも悟られない、止めようがない、彼らの周りはきっといつだって夜で、彼らは点々と散らばる灯りの外に居る。揺るぎない速さで夜は更けゆき、灯りの点々は少なくなる。彼らが帰るべ