ユニークな個性の存在は、諭さなくても語らなくても人を救う

子育ての指針の中に、

思いやりを持ち、相手の立場に立って、人の気持ちになって、人に迷惑をかけず、気を効かせて、空気が読めて、さくっとお役に立てるような、もろもろのソーシャルスキルがあれば、

きっと、この子の人生は、より豊かになるはずだと思う事があるかもしれません。

確かに、そのスキルはあればあるほど、ある種のアンテナが高いわけですから、キャッチするものも多く、それによって、より豊かで幸福度が高くなる、と言ったことはあるかもしれません。通じ合える喜び、感性豊かな世界感の中にある喜びをわかちあう、そんな経験も得る事ができます。

ユニークな個性を持つ子どもたちを育てるパパママさんの中には、この空気が読めるアンテナに大きな価値を持っていて、我が子がそれに対する高いスキルを持つ事が出来ないかもしれない事を、寂しく感じている親御さんもいらっしゃるかもしれません。

実際、伝えてみてもなかなか伝わらなかったり、その歩みがゆっくりで、

なぜ、ここで人の気持ちを先に考えられないのか、　　なぜ、まず先に自分の感情ありきなのか、とモヤモヤ、不安に思う事もあるでしょう。

癇癪を起こす事もなく、幼いながらにあっさりそれが出来る子に囲まれていると、心がざわつき、こんな感じでは、人に認めてもらえないのではないか、人にどんどん嫌われていくのではないかと心配になる事もあると思います。すでにSST(ソーシャルスキルトレーニング)に取り組み、パターンとして知ることを積み上げている親子もいるかもしれません。

幼少期はその感情コントロールが、幼い＋ハンディで、日々、大変な瞬間の連続体の中にいるので、なかなか未来に希望を見出せないかもしれません。

この子達は、自分の気持ちに嘘がなくストレートで正直です。

それを、親側も自分の感情と戦いながら、臨機応変に支える事は、本当に大変だと思います。

大人になってくると、あゆみが遅くとも、高々しいアンテナでなくとも、その子なりの思いやりや我慢などを身につけて、経験の中から色々なスキルを成長させてきます。感情が自制できないままエスカレートするしかないのではないかと抱きつづけてきた不安も、そのストレートで正直な感情は、人から許され、認められる特権になっていくこともあります。

人の気持ちに対してのアンテナが高い事は、本当に、絶対的に豊かで高い幸福度につながるのか。そこには、その人がもつ、幸せだと感じる力が大きく影響します。

どんなにアンテナが高くとも、もし、幸せだと感じる力がなければ、本人の感じる幸福度は決して高いものではありません。

気付ける高いアンテナも、人を信じられず幸せを感じる力をもたなければ、

損得勘定のためのツールにしてしまう、人の心理を深読みしすぎた解釈で自分を苦しめてしまう、自身の欲求と気遣いの狭間にある心理戦に疲れる、戦略的に動いて嫌われてしまう、など、

本来の目的とは違う使い道として発動させ、望まない結果を引き寄せてしまいます。

また、幸せを感じる力は持ち合わせていても、デリケートで繊細なために、逆にに人の感情を受け取りすぎて辛くなったり、譲った感情や我慢に蓋をして不消化な気持ちと戦いつづけなけばならない事もあるかもしれません。

人の気持ちがなかなかわからなくても、人の気持ちがわかりすぎても、どちらにも悩みや課題はもたらされるものです。

そんな時、せっかくの気づけるアンテナがねじれた感情の位置にあればある程、なんと、それを救う事ができるのはユニークな個性の持ち主である事は多いのです。そして、その子が自分の事が大好きで幸せだと感じる力をもっていたならば、その力は、いっそう大きな力として備わる事になります。

ねじれた感情を、ねじれたものとして評価せず、曲がった形で受け取らず、戦略返しする事もない。ねじれた部分をつつかず、執着しないでいてくれる。ねじれたものを、ねじって受け取らない人に対して、醜く反応しようがないのです。そのシンプルで素直なスタイルが、最高の癒しとなって、それをあたたかく包み、溶かしていきます。

干渉しすぎず戦わないでいてくれる事で、もっと嫌な感情を引き出さなくて済む。それに救われる人も少なくありません。心の奥底でほっとさせる安心感を与えるだけでなく、その姿から自分との差をとり、自らを内観するチャンスにできる人もでてきます。その後ろ姿を模倣して、人が変わるきっかけを与えられます。ありのままの正直で素直な心、そんな素敵な心を持つ持ち主なのです。

そんなダイアモンドの原石をもっているこどもたち。

ぜひ、ありのままの美しさを、素敵にいかされるように、いまの癇癪や辛さの目線を少しやわらげて、我が子という宝物を、優しく丁寧にみがいてほしいとおもいます。そう思うだけでも優しくできる瞬間を緩やかに増やすことができます。