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小学校の先生の悩みのあるある。

「問題解決学習」ってなに? どうやってやればいいの?

問題解決学習とか、問題解決型学習とか、聞いたことありますか?
課題解決型学習、という言い方が一般的かもしれません。

聞いたことはあるけど、具体的にどういうプロセスでやるの?
ていうか、別に教えこんじゃえばいいじゃん、手っ取り早いし。

そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが「問題解決学習」は現在の学習においてめちゃんこ大事です!

なぜなら、「教え込み型教育」では昨今の子どもを取り巻く課題を解決することができなくなってきたからです。

まずはAIの登場です。
自動学習プログラムを備えたAIは、私達人間とは比べ物にならないスピードと情報量を学習することができます。
もう、人間がAIに勝てる分野はかなり狭められているといえるでしょう。

AIに勝てる分野とは、
創造性、独創性です。

つまり、自分の頭で考え、生み出す力が人間の価値といえるでしょう(暴論ですね)。

だとしたら、従来型の知識や技術をインプットするだけの教育では、到底AIには勝てません。

ならば、私達に必要なのは自分の頭でなにかを生み出す力です。

社会で生まれる問題はすべて解決法がわかっているわけではありません。環境問題も人種問題も、国家間の紛争の問題も。

だからこそ、そういう問題や課題に対して、自分の頭で考え、それを他の人に伝え、ともに力を合わせて解決していける人間こそ、次世代に求められている人間です。

その素質のある人間を育てるのが、私達教育者の使命です。
だから、教員って尊い仕事なんです。ブラックとか言っている場合じゃない。

あなたがこの話に共感していただけるのなら、私と同じ問題意識をもっているのなら、この記事の続きを読む価値があります。
ともに、問題解決学習を通して、子どもたちを次世代を担う存在に育てて行きましょう!

問題解決学習とは?

問題解決学習とは、子どもが自ら問題を見つけて、その問題に対して自分で解決策を考え、解決のための取り組みを行う学習活動です。その学習活動を通して、知識や技術、思考などを育成することです。そして、「もっと調べたい!」という意欲を持ちながら発展的に学習に主体的に取り組む子どもを育てることを目的にしています。


問題解決学習の流れの概略を掴みましょう。

1.生活や事象、教材の中から問題の存在に気づく
2.問題を明確化する(問いを立てる)
3.問題を解決するための課題を明確化する
4.課題に対しての予想や仮説を立てる
5.課題解決のための計画を立案する
6.観察・実験・調査・話し合いなどの学習活動を行う
7.結果と考察を行う
8.結論を出す

1.生活や事象、教材の中から問題の存在に気づく

理科の場合がわかりやすいと思うので、理科を例にお話します。
例えば、どうして雨が降ったあとの地面が乾くんだろう? という事象について学習するとします。
まずは生活の中で、そういう事象に出会ったことはあるか、子どもに問いかけます。
その時点では、子どもによって知識に差がありますので、水が染み込むことや蒸発などの現象を知っている子もいれば、「言われてみればどうしてだろう?」と思う子もいます。

もちろん、生活や事象から問題の存在に気づける単元ばかりではありません。この部分をすっ飛ばすこともあります。

2.問題を明確化する(問いを立てる)

次に、「雨水のゆくえはどうなっているのかな?」と、大きなくくりで問題を明確にします。

社会科だったら「室町時代の文化ってどういうものなのだろう?」とか、「昔の人の生活や暮らしはどういう様子だったのだろう?」などの問いとなります。

国語については、ただ「大造じいさんとガンを読もう」ではなく、「優れた表現に着目して、物語を紹介しよう」などの、問いというよりも「目指す姿や目標」を明示することが多いです。
ただ、国語における問題解決学習には諸説あるので、様々な手法で取り組む方がいます。
物語のクライマックスを知り、「どうして最後にごんぎつねが打たれてしまったのか?」から授業をスタートされる先生もいます。

教科や単元、教材によっては、教師や教材から直接、「こういう問題があるけど、どうやってその問題を解決すればいいかな?」と投げかけられる場合もあります。

3.問題を解決するための計画を(仮に)立て、課題を明確化する

問題を明確化したら、次にその問題を解決するための計画を立てます。この計画は、今考えられる計画で大丈夫です。また、ここは教師と一緒に考えていく場面となります。特に低学年の場合は計画を立てることは難しいので、教師主導でいきましょう。

雨水はどこに行くのかを調べるために、どんなことを調べたらいいかな? と問いかけます。つまり、問題解決のための計画を大雑把でいいので考えるのです。

・雨が降ったあとの地面の様子を観察する
・空気中の様子を観察する
などなど、子どもが考えることができたら最高です。

問題と課題は、私は別のものと考えています。
・学習問題(Problem)…単元を貫く大きな問い
・学習課題(Task)…問題を解決するための毎時間のクラスや個人のめあてや目標

ここで、課題の立て方で注意してほしいことがあります。
それは、「現段階の子どもの発達段階において、解決可能な課題を立てること」です。
もっとも注意してほしいのが、理科です。

例えば、3年生の理科の電池の単元において、「なぜ、電池と豆電球をつなげたら、明かりが付くのだろう」という問いは、現段階では解決をすることができません。
なので、「電池と豆電球をどのようにつなげたら、明かりが付くのだろう」としなければいけません。

ですが、例えば逆に「どうして逆上がりができないのか、原因を突き止めよう」だとしたら? もしかすると、逆上がりが苦手な子と得意な子の体の使い方の違いを観察することによって、課題を解決することができるかもしれません。

教師が狙っている課題を設定できるよう、意図的に子どもを導いてほしいと思います。
子ども自身が課題を立てることができた、と感じさせつつ、教師が狙った課題にしていくところが、腕の見せどころ!ですね(笑)

4.課題に対しての予想や仮説を立てる

ここからは、毎時間の授業の冒頭に、課題に対しての予想や仮説を立てます。

問題解決学習において、とても大切な部分となります。
無計画で仮説もなく問題解決に取り組んでも、うまくいくはずはありません。
社会人になってからもそうですよね。問題にぶち当たったときに解決のための仮説を立てることができれば解決に近づけますよね?

ここで、生活経験のある子や予備知識がある子は「かんたんだよ。雨水は地面に染み込むんだ。」とか言います。
そういう子には、「でもさ、校庭の鉄の台の上の水も、なくなるよね?」とか切り返していくといいですね。
思考の深まりを促すことができます。

5.課題解決のための計画を立案する

課題解決のための計画を立てます。当然ですが、子どもがすべて計画できるわけではありません。つぶやきや子どもなりの発想で計画を考えさせ、それを教師が実現可能な範囲で計画してあげるわけです。

ここでも、子どもが主体的に取り組む態度を育てたい。
そのためには、「自分の考えで授業が進む」という経験がどうしても必要です。与えられて、レールが引かれた授業ではなく、自分で創り上げるという感覚が、学習意欲にはどうしても必要です。

だからこそ、問題解決学習が必要であり、大切であるわけです。しんどいっすよね(笑)

6.観察・実験・調査・話し合いなどの学習活動を行う

さて、課題解決のための計画が立ったら、あとは子どもの活動です。
・観察
・実験
・調査
・話し合い
などの方法で、課題解決を図ります。
ここの部分は教科によって全然違いますし、単元によっても違いますので十把一絡げに話すことはできません。

ただ、共通して言えることは、教師の役割は「教え込む」のではなく、「サポートする」「導く」ことです。

昔の教育と今との違いはそこにあります。子どもが主体的・対話的に学習にコミットすることで、深い学びになると文科省が言っています。

偉い人が言うんだから、そのとおりでしょう(笑)


7.結果と考察を行う
8.結論を出す

結果と考察についても、できる限り子どもたちがまとめていけるようにサポートする授業を展開していきましょう。できれば、まとめの言葉も子どもたちの言葉で構築していくとよいでしょう。このあたりの技法もありますが、反響があればまた別の記事で紹介させていただきたいと思います。

問題解決学習を制するものは、小学校の授業を制する

過言ではないはず! まだ経験の浅い皆さんは、まず教科書の流れが問題解決学習になっているので、そのとおりにすすめていきましょう。ただ、問題解決学習に沿って教科書ができている、ということを意識して授業をするだけでも、教師の授業力に大きな差ができます。

ぜひ、問題解決学習のプロを目指しましょう!


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