こどもが素早く行動してくれなくて困っています
子どもに指示を出しても、なんだか行動が遅い…
動かない…
そういうことにお悩みな教育関係者は多いはず。
何を隠そう、私もその一人です(笑)
どうすれば行動するようになるのかは、ぶっちゃけ人によってモチベーションが違うので、絶対的な答えはありません。
ですが、10年以上教職に携わってきて、「こうすると割と動いてくれるなぁ」というコツのようなものは見つかりましたので、それをシェアします。
お悩みなら、参考にしていただけたら幸いです。
そもそもどうして子どもは行動しないのか?
子どもが行動しない理由は何でしょうか。
理由はいくつかありますが、大きく分けて・・・
①他にやりたいことがある
②そもそもやりたくない
③聞いていない
の3つがあります。
①は、他にやりたいことがある、です。
これが原因で動かない子は多いです。
そもそも、低学年のような発達段階的に難しい子もいます。
今、自由帳に絵を描くのに熱中していて、休み時間になっても自由帳をやめられない。
今、本を読みたい。廊下に整列するよりも本の続きが知りたい。
こういう子っていますよね。
②は、そもそもやりたくない、です。
鉄棒を練習しましょう、と指示を出してもやらない。
ワークシートに取り組みましょう、と指示を出しても、鉛筆すら出さない。ひどいときにはワークシートをくしゃくしゃにしてしまう。
こんな状態です。
そして③は、聞いていない、です。
低学年や学力の低い子に多い原因です。
廊下を歩く人に気を取られて、指示を聞いていなかった。
教科書の他のページを読んでいて、話を聞いていなかった。
結果的に、行動に移せない。
この場合は、注意力散漫な子どもなのかもしれませんね。
対処法
対処法、と題しましたが、どのケースにも当てはまるものではありません。最適な解は、もちろん「個に応じて対応を変える」です。
でも、そんなことを伝えても仕方がないので、まず簡単に取り組める対処法をお伝えします。
行動の必然性を教師がつくる
行動には必然性が必要です。トイレに行きたくなったのに、行かない子はそういません。漏らしてしまうからです。
つまり、トイレに行く、という行動には必然性が伴っている。
でも、ワークシートに取り組む、という行動に対して、必然性はあるのでしょうか。多くの子にとってはあります。なぜなら、「やらないと指導されるから」です。先生に「どうしてやらないの?」と言われるのは、誰しも嫌なものです(中には、先生に注目してほしくてわざとやらない、という子もいますが)。
ワークシートに取り組むという行動は、多くの子にとって「必然性」があります。怒られたくないでしょうし、学力の高い子にとっては自分の能力を発揮する機会ですから、すすんで取り組むでしょう。
ですが、学力が低かったり、学習に対して関心が低かったりすると、ワークシートに取り組まない、という行動を取る子もいます。
その子にとっては、教師から指導されるからワークシートに取り組む、という必然性は存在しない。むしろ、やらないことによって「教師から注目される、助けてくれる」などの必然性が存在するので、ワークシートに取り組まない、という行動に出るのです。
その子の必然性がどこにあるのかを探ることになります。そして、子どもがモチベーションをもつことができるようにサポートするのです。
・学習することの意味を伝える
・終わったら好きな行動ができることを伝える
・終わらないと宿題になることを伝える
・少しでもワークシートに取り組んだら称賛されることをその子が理解する
など、行動することの必然性を伝えましょう。
もし、クラスの全体的に「取り組まない雰囲気」が漂っているのなら、クラス全体に対して「行動の必然性」を教師からはっきりと伝えます。
ワークシートの件でいえば、多くの場合は学習面でのつまづきがあるから取り組まないことが多いです。
だから、個別での支援が必要になってきますが、クラス全体でより行動を強化していきたいのなら、「このワークシートには取り組む必要がある。なぜならこうだから」と必然性を伝えましょう。
子どもを脅す?操作する?
こう話すと、「子どもを脅したり、大人の都合で行動を操作するようなことを先生にしてほしくない」と思われるかもしれません。
ですが、学校はあくまで学ぶ場所です。
学ぶためには、行動が必要です。
学ぶ行動を取るために、どう教師がサポートしていくかが、教職の専門性だと私は思っています。
なら、行動を促すための手立てをたくさんもっておくことは、教師の専門性を高めることだと思っています。
「プリントを終わらないと宿題になる」と伝えることが脅迫であるならば、私たち教員は、子どもをモチベートする手段がかなり限定されることを意味します。
そういう意味で、「終わらないと宿題」というのは、子どもを行動させる一つの手段です。
もちろん、楽しく学習するに越したことはありません。
ですが、学習はエンターテイメントではありません。
私たち教員は、もちろん学習が楽しく進められるよう考えて仕事をしていますが、子どもを楽しませるのが学習なのではなく、楽しく学習を進められる子に育てることが本来の教育の姿なのではないでしょうか。
ワークシートの件では、子どもが楽しめるようなキャラクターを入れたワークシートを作ってもいいのです。ですが、それは同時に「キャラクターのない、無味乾燥なワークシートはやりたくなくなる」という子を育ててしまっているのかもしれません。
私たち教員は、いつでも楽しませる、という視点ではなく、子どもが学習が楽しいな、と思えるように教育活動を進めていく必要があるのです。
一番楽しいのは、わかること、できるようになること
子どもが、学ぶのが楽しい、もっとやりたい、と思わせられるように、行動を促すと同時に、「行動してよかった」と思えるようなしくみや言葉がけが大切です。
蛇足になりますが、他にも子どもがスムーズに行動ができるようになるための手立てはあります。
・音を出してまず注目させてから話す
・行動をすぐに取れている子をすかさず褒める・認める
・行動をすぐに取れた子を褒める・認める
・時間を制限する
・行動を取れていない子に、友達同士で声をかけさせる
・取ってほしい行動を黒板に書く(視覚的に伝える)
・実例を示す
・友達とチームで行動させる
など。これらの手立てを打ちつつ、行動の必然性について考えてみてくださいね。
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