「自力で治した。森田療法に効果なし。」実は、結構大事なことを言ってます。
森田療法をネットで検索しているとあまり良くない評判も掲載されています。
私自身は、森田療法を勉強して症状が良くなっただけでなく、人生において大事なことを教えてもらったと思っているので森田療法には感謝しかありません。
ところが、森田療法を否定している人がいるということも事実です。
この評価記事もその中のひとつだと思います。
ところが、この言葉には森田療法にとってとても重要な要素が含まれています。
森田療法を勉強している人は、よく知っていることだと思いますが、森田療法では「症状は、病気ではない。病気でないものを病気と思って、こねくり回しているから病気のようになる。普通に生活していたら治る。」と説明しています。
誤解のないようにもう少し説明を加えると、この説明が森田療法の全てではありません。
森田療法を勉強する人は、本人が苦しんでいる症状があって、それが原因で普段の生活に支障をきたしているので、一般的に症状は病気です。
それを極端に言って「病気ではない」と説明しています。
症状に苦しんでいる人は、症状が重い人もいれば、森田療法の理解の早い人もいます。
森田療法の本を読んだだけで治る人もいれば、森田療法を勉強していても良くならない人もいるのも事実です。
肝心な部分は、とらわれた症状(吃音や赤面恐怖、対人恐怖など)を治したいと症状に意識が向いている時は、治りません。
ここがとても難しいところです。
われわれのようにある症状にとわられる人間は、逆に「より良く生きたい」という強い欲望を持っています。
良く生きたいという欲望があるので、上手くいかない部分に意識が集中して、とらわれの症状ができあがってしまいます。
普通に生活していると本人がもともと持っている「より良く生きたい」と普段の生活に意識が向くようになります。
結局、本人が今までとらわれていた症状から本来意識を向ける部分に自然と意識が向くようになり、本人が知らないうちに症状が消えてしまいます。
簡単に説明して、これが森田療法で治る理屈です。
「自力で治した」と言っているのは、「森田療法の説明は正しかった」と言っていることと同じなんです。
Twitterを見ていると自分で何とか治したとか、治し方を見つけたという人が時々いらっしゃいます。
全てが森田療法の理屈に当てはまるとは思いませんが、この理屈で考えるとかなり腑に落ちるところがあるように思います。
そこで、、
「だったら普通に生活して、症状を治そう」と思って、頑張る人がいるかもしれませんよね。
ところが、これがまた難しいところで、症状を治そうと症状に意識が向いていて普段通り生活しても、そう簡単には治りません。
肝心なところなので何度も言います。
治そうと思って意識が症状に向いている時は治らない、です。
しっかりと森田療法を勉強することをお勧めします。