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親に頼れない子どもたち

今回は、私が今携わっている『コエール』について綴りたいと思います。

過去のnoteでも書いているように私は、虐待被害の当事者です。
ただ、そう自分でしっかり認知ができたのはたった1年半前のことでした。

驚きですよね。26年間、生きてきたにも関わらず自分は当事者だと声を大にして訴えることはできませんでした。

それは、私が社会的養護出身の子どもではないから。

過去に通報されたことも、保護されたことも、ありません。
なんなら社会的養護というものがどういう仕組みで、どんな施設が営まれ、どういう法律があって、どういう判断でどんな措置がされるのか、私はそれまで知りませんでした。

専門知識がなくて驚かれたこともありますが、世の中のどれくらいの大人たちがその詳細を答えることができるでしょうか?

私はそういった社会的養護の外で生き延びました。なので自分が虐待を受けていたことも、わかるまで時間がかかりました。

なぜ保護されなかったのか。
それは、家族が虐待を隠蔽したからです。

大人が3人揃って世間体のために嘘偽りで固めている中、普通ではない家庭内で私はそれが「普通ではない」と認識することもできないまま、育ちました。

ただ、本能的にこのままこの家にいてはいけない、と逃げ出し、自分なりに頭を使って必死に生きてきました。

そんな私の人生に転機が訪れました。
それが、『コエール』への登壇です。

社会人になり、過去を、自分の生い立ちを他人に打ち明けることも機会もない中で、
Twitterでふと虐待に関する記事の引用リツイートをしたのでした。

滅多にそれまでSNSでその類の話をしたことがなかったのですが、その記事を読んであまりにも身に覚えがあり、共感の意味でシェアをしました。

そのツイートがきっかけで、コエールの運営者NPO法人ブリッジフォースマイルから参画のお誘いを貰ったのです。

TwitterのDMで、です。
最初は正直、どんな団体だろう?と不審に思って結構調べました笑

だって、施設出身ではない私に、NPO法人が、自分の経験を話してほしいなんて、結びつかず、先ず困惑しました。

でも、そこは私なので、一度ちゃんと話を聞いてみようと思い面談を受けました。
そこで、私の経験をまずは簡単に、
そして細部を必要に応じて詳細に、語りました。

「それは間違いなく虐待だよ」

私は、初めてそこで、26年間痼になっていた自分の過去を第三者に認めてもらったんです。

驚きでした。そしてはじめての体験でした。
大人が、他人が、こんなにも私の話を真摯に聞いてくれている。

誰がそんな話に興味があるのだろうと、私はずっと思っていました。それにそこまでおかしいことだと自分で認識していなかったんです。
それこそ、毎晩蹴られたり殴られたり髪ひっぱって土下座させられたり、物を壊されたり捨てられたり、ごはんは自分たちで作らなきゃいけなかったり、家事で勉強ができなかったり、母の機嫌ひとつでなんでも予定や考えを変えなきゃいけなかったり、嫌なことを強制・脅迫されたりしてましたが、
私は虐待被害者として主張していいのかなと、イマイチしっくりきてませんでした。

10代毎日しにたかった。
先生や周りの大人に相談したこともあったけど、行動してくれる人はおろか、私の方が悪いというような扱いも受けました。

家を無理やり出て、親との縁も少しずつ切り、自由になった気はしていました。

でも、友人との話で出てくる話題や、勤務先でのちょっとした世間話、
『実家には頻繁に帰ってるの?』
「いえ、」
『親孝行しなきゃだめよ!』
こういうやり取り、何度としたことか。
その度、喉の奥まで出てきた言葉を飲み込みます。
正直に大人に他人に話しても、引かれるか、親不孝者とされるだけで理解なんてまずしてもらえません。

独り生きる社会はいつも冷たかったです。

常に私は周囲の無理解を当然とし生きてきました。

被害当時に発見されず制度に繋がれなかった子どもたちにはなにもその後、支援がないんです。

今私がうつを患っているように、後遺症は確かにあります。社会に出てからも、頼れる親がいないので1から手探りでたくさん失敗をしてました。
今から思えばよくしななかったなと思います。

私は支援やケアは受けられませんでした。
身の回りで同じような経験をした子もいなかったので分かり合える友達もいない、相談できる相手もいない、
なんなら辛いって言うことすら、できませんでした。

だって自分の意志だと思っていたから。
家を出たのは自分の意志、だから自分で行動して生きていくのは当たり前、そう覚悟を決めていました。

でも、そうじゃない。
私は出たくて出たんじゃない、
生き延びるために自分の人生を生きるために家を出たんだと、コエールのワークショップを通じて、初めて思うことができました。

私が特にコエールですごいと思っているところは、施設出身者じゃない人でも「親を頼れない」経験をした人はスピーカーとして登壇できるところです。

施設出身者ではないと虐待被害者として認めていないような団体もある中で、私は、そのスピーカーとして発信できたことで救われました。

この社会で「頼れる親の存在がないことで起きる様々な問題」「いままでの経験」「大人たちにしてほしいこと」「たくさんの人に知ってほしいこと」などなど、当事者の心の声が聞ける貴重なばしょです。

養護施設を出てからの困難さが訴えられている通り、社会に出てから、本来であれば何十年と味方でいてくれる親がいないこと、
実家というセーフティネットがないということは本当に大きいハンディキャップです。

そして私は、このイベントに「何かこの現状に行動したいと思っている大人」はもちろん、「自分も親に頼れなかった」という人にも参加してほしいと思っています。

児童養護施設に実際に保護される子どもは、通報や疑いがあるとされた子どもの約1/4、
つまり通報されていない私のような子どもを含めると、自分が虐待を受けていたということすら認識できていないサバイバーたちがもっといるのではないかと、容易に想像ができます。

自分が当事者であることを認識できていなかった時、私は生きるのがなんでこんなに辛いのか、わからず苦しんでいました。
でも参加を機に、「私が辛かったのは当然だったんだ」とむしろ思うことで気持ちが楽になったり、それ以上自分を責めなくなれたんです。

そして、次世代に自分と同じ苦しみをさせるような社会のままでいいのか、
より多くの方に考えてほしいと思っています。

いまもどこかで独りで辛い思いをしているかもしれない人に、仲間達の声を届けて、「もっと違う社会のにするには?」を一緒に考えていければなと思っています。

いま、次の世代のイルミネーター(登壇者)たちがそれぞれの伝えたいスピーチを今年も用意しています。

イベントはオンライン配信、
今年はアーカイブ配信もするそうです。ぜひ!

2022.7.2(土)
13:30-15:30
チケットは、上記URLから予約をお願いします。

ここに書いてあるのはあくまで私個人の思いです。

でも、それぞれの経験や過去の辛さを安易に比較されたり、違いを否定することなく、それぞれが生きられる社会に少しでも近づけばなと、心から思っています。

今回も読んでくださりありがとうございました。

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呑ん
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