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「察しの悪い親」でいることは面倒くさいけど効果あり

「ママ、お茶」

「ママ、箸」

我が家では、こういった子供からの“単語”での要求には一切応じないことにしている。

「脱ワンワード」を実践しているのだ。

子どものコミュニケーション力=双方向に伝え合う力を高めるために、親が自ら直すべきは、「文章で話す(脱ワンワード)」と「聴く」ことです。
子どもの「生きる力」アップには、まず親から。

【三谷宏治さん「戦略子育て」より】

「脱ワンワード」つまり、ひとつの単語で伝えたり要求したりせず、文章で伝える、5W1Hをハッキリさせて会話をするというものだ。

冒頭の「ママ、お茶」に対しては、
「ママは、お茶じゃないよ。ママはのまりだよ。」と、とびきりのおとぼけ顔で応対する。

すると子どもたちは「ママ、お茶ください」「ママ、箸取ってください」となる。

ちなみに「はい!わかりました!」とは、
な・ら・ず、
「ママはお料理を運ぶので、手がいっぱいです。自分でとってくださいね」と答える。

言い直させて取らないんかーいと、子どもたちも内心ズッコケてることだろう。

とにかく育児に関しては、「察しの悪い親」でいることを意識しているのだ。

もっと察しの悪い親になって、子どもの思考と言葉を引き出してください。
【三谷宏治さん「戦略子育て」より】

以前の私は子供が「ママ」というだけで、箸もお茶も出していた。
エスパーかというくらい、子供の要求がわかってしまう。
とにかく察しがいいのだ。

つまり、とことん先回りしてしまう。
それが、子どもの思考と言葉を引き出す能力を奪っているとも知らずにだ。

振り返ると、親としてのお仕事がスタートした時、つまり子供の赤ちゃん時代というのは、「察すること」がお仕事だったと思うのだ。
赤ちゃんというのは「泣くこと」しかできないから、そのたった1つの表現から、オムツ・おっぱい・眠いetcを察しなければいけなかった。

でも、子供達が成長した今、子供達は「言葉」で伝えることができるようになった。

つまり、目の前の子供達はとっくに赤ちゃんを卒業しているのに、私だけは赤ちゃんの頃同様に「察する」という対応を引きずっていたのだ。

しかしだ。
察しの悪い親でいるというのは、実にめんどくさい。

察した方が楽なのだ。

「ママ、箸」→「はい」のワンターンで終わる会話が、察しないことで何ターンも必要になる。
それはそれは面倒くさい。

ただ、どんなことでも面倒くさいの先には、成果というのはあるもので。

察しが悪い親に育てられている息子は、自分の気持ちを表現するのがとても上手だ。
それは度々このnoteでもネタにさせていただいている。

「僕は、お姉ちゃんが笑ってくれないのが嫌だったから、悲しい気持ちがして、涙がでたんだ。僕が悲しくて泣いていて、それでおねーちゃんは、どんな気持ちなの?」

姉との揉め事中、これを寂しそうに静かに怒りを込めながら、それはそれはドラマチックに娘に向かって息子が伝えていた。

まだ4歳。手が出てしまってもおかしくない年齢なのに、自分の気持ちをこれだけ上手に伝えられるのはすごいなと、感心してしまった。

生きていく中で、どんなシーンにおいても、自分の気持ちや希望・要望を言葉で伝えられるというのは、大切なスキルだと思っている。
少々面倒くさいが、「脱ワンワード」家庭内のコミュニケーショントレーニングとしておススメだ。


さて、子供に脱ワンワードを徹底するからには、親である私も当然のことながら実践している。

しかし、最近問題が出てきた。

脳の老化によるものか、私の中で単語そのものが出てこなくなってきたのだ。

「娘、あれ使ったら戻してね!!!」

「あれ?」

「そう、なんだっけ、あれ?あれなの、あれ?あのーーーーーー体温計!!!!」

私の脳内が、ある意味「脱ワンワード」している。

子供達の未来を生きる力も育んでいかねばならないが、私自身の未来を生きる力も衰えないようにしなければな・・

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