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「その魚ら、心をもてり」

すずしい。

今週はちょっとすずしくて、エアコンをつけずに眠れるしあわせを噛みしめている。

朝や夜はなんだか秋みたいだなって思う。
このまま秋になればいいのに、いや、そんなわけはない。わかってる。でも秋になったらいいのにな。秋にひとっ飛びしたい。

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昨日は夏休みの娘と一緒に、日比谷へ。

映画「PERFECT DAYS」を観てきた。
いまはもう東京では日比谷シャンテシネマでしかやってないんですね。それにしても半年以上のロングラン。カンヌで役所さんが受賞したからでしょうか。

にしても、なんだか不思議な映画だった。
以下、感想の書き付け。
(これから見たい方は読まないでくださいね)


・ヴィムヴェンダース監督ということで、外国の方から見た東京、というものが映し出されていた。東京なんだけどわたしの知ってる東京とはなにか違っていた。
すぐにスカイツリーが映されるとことか、主人公がスカイツリーの根っこのあたりで暮らしてるとことか(たぶん、押上?)、外国の方にとっての東京のシンボルはいまはスカイツリーなんだろうか。とも思う。

・主人公の平山(役所さん)の、ルーティンに次ぐルーティンをかたくなに守り続けるひとり静かな日々を、静かに見守り続ける。
で、たまに横槍が入ってそのルーティンが崩されると、見ているこちらも「ちぇっ」と思う。(平山も多分そう思ってる)

・あまりに同じ生活を繰り返しているので、この映画ループものなのか?ループしてる?と途中で思いかけたが、違った。ぜんぶ別の日々だった。

・三浦友和と影を重ねて「(影が)濃くなってますよ!」と言う平山のセリフが好きだった。

・これを見た他の人に感想を聞きたくなる映画だ。見る人によって思うことがかなり違いそう。わたしは、一番思ったことは「平山のラストの気持ちがいまいち分からない」だった。

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お昼は、日比谷シャンテのチャヤマクロビにて。

いかにも身体に良さそうなビジュアル。玄米、さまざまなお野菜。

娘と、「ベジタリアンとヴィーガンとマクロビの違いってなんなんだっけ」と話しながら食べた。マクロビ……ってどういう定義だっけ。
なにはともあれ美味しくいただいたし、わたしはひとりだったら毎日これ(玄米+野菜+植物性たんぱく)でもいいなぁ。

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この夏は、いくつか楽しみを用意しよう、と思う。

わたしは夏が大の苦手(というかもはや憎い)だし、鬱からの復職明けの心身で真夏をすこやかに乗り切れるか不安だし、8月には専門学校のスクーリングも2回あるし、楽しみを作っておかなければ元気に夏を乗り越えられんかもしれん、と思ったのだ。

そこであれこれと算段して、「神宮球場のナイター」「東京ドームのデイゲーム」「歌舞伎座の納涼歌舞伎(夜の部)」「上高地への旅行」を用意。
ちなみに歌舞伎座の夜の部は、京極夏彦がつくった新作歌舞伎だそうだ。楽しみ。

楽しみとスクーリングをサンドイッチみたいに挟んで、山を超えていこうというわけ。
サンドイッチ作戦。

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三連休には品川の実家に帰って、母の78歳の誕生日祝いをしてきた。

娘にとっては「おばあちゃま」

母ももう78歳だもんなー。
驚いてしまう。
わたしの父は7年前に79歳で亡くなったので、なんとなく、ああ、もうそんなに、と思うところがある。

母は傍目には78歳には見えないシャキッと感があるし、まだ仕事も続けているし、病気もせず元気だが、やはり「80の壁って、なんかあるわよね」と話していた。
元気に長生きしてほしい。

久しぶりに実家に帰って、兄にも会った。
40年来の阪神ファンである5個上の兄なのだが、「今年はもう阪神の勝ち負けにはなんにも感じない。去年優勝したから、また次は何十年後かなと思う」と言っていて、ものすごい達観ぶりだなと思う。 
あの、すんごい弱小だった90年代の阪神を支えてきたファンはやはり違うな。

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こんなに良い詩集があったなんて、と感動してしまった、詩集。

八木重吉が好きな方は、きっとお好きなのではと思う。
どうしていままで山村暮鳥の詩を読まなかったのだろう?と思うほどとても胸にせまる詩集だ。

青空に
魚ら泳げり。
わがためいきを
しみじみと
魚ら泳げり。
魚の鱈
ひかりを放ち
ここかしこ
さだめなく
あまた泳げり。
青空に
魚ら泳げり。
その魚ら
心をもてり。

「青空に」山村暮鳥

いまはこれと、益田ミリ『ツユクサナツコの一生』を読んでいる。いや、『ツユクサナツコ』は買ったけどまだ手をつけてない。なんだか読み始めるのがもったいなくてね。