音読 『感受体のおどり』 第19番
第19番を音読します。
第19番: おどり・後期(月白・火守木・熟先・私(・日乗・練緒))
伝統芸能というのは、まず師匠から基本の型を教わり、何度も繰り返し、身体に染み込ませた上でそこに魂を入れてゆくと読んだことがあります。
「型破り」とか「形無し」などという言葉の始まりも、伝統芸能だと聞いたことがあります。
主人公の「私」のことを、周囲の人は褒め言葉として「踊りが(師匠の)月白に似ている」と言います。
「私」は、皆からそのように言われる自分の気持ちは置いておき、
・月白は「似ている」ということを好まない
・流派の顧問でもある火守木までがそのように話していることを、月白がどう思うか
などと考えを巡らせています。
また、すでに踊りをやめた弟子の熟先の名前まで持ち出して「「私」は自分と似ていない」と言い張る月白自身の踊りが、長い年月、あるいは創流者の日乗の死を経ることで変化してきていること、さらにはそれに関連して、日乗の伝え手としての能力にまで冷静な分析が及んでいます。
主人公ばりに冷静に(?)第19番の文章を読んでみると、冷静に観察しているだけに見える文体の中、「私」自身の、少し悔しいのか、ひがんでいるような最後の一文が。
漢字は
技倆(ぎりょう) 練達(れんたつ)