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音読 『感受体のおどり』 第35番

 『感受体のおどり』は、タイトルの下に「350番」と添えられています。平均して1~2ページの断章が350章、続いています。
 第1番から第35番で一区切り。このようにして、35番ずつ10のブロックに分かれている格好です。

 では第35番を音読します。

 駅舎の出いりぐちがあるらしいがわにはかなり広い道も通り, (以下は略)

単行本『感受体のおどり』042ページより

第35番: 風景(駅・私)

 ここに描写されているのはどこの駅なのか、主人公の「私」はどこから来てどこへ行くところなのか。そもそも、これはいつの時代のことなのか。ここまで読んできた「私」の人生のどこかの場面に当てはめようと、無意識に探ってしまいます。

 でも、読んでいるこちら側も、気がつくと、ここに描かれている情景にポン、と置かれて、

ふと光のぬい目が右から左へうごいて過ぎた.

本文より

過去も未来も関係なしに、「私」と一緒にその光景を黙って見ているばかりです。


 この場面に出ている「駅舎の出入口があるのと反対側は林」というところはどこかなーと、勝手に想像しました。
 特定できるとは思っていません。自分の知っている範囲の首都圏の鉄道地図をめぐってみたり、昭和の駅の画像を眺めてみたり。とても遠いところかもしれないし・・。
 少し発想を変えると、昔は雑木林しかなかった地域に鉄路が敷かれ、駅の片側だけがとりあえず街として発展途上な場所でしょう。・・と、鉄道のことを調べる趣味をかすった身としては、考えたらキリがありません。
 


  這(は)う  疾(はし)って


  試し読みは、残念ながらここまで。電子書籍はなさそうです。

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