音読 『感受体のおどり』 第35番
『感受体のおどり』は、タイトルの下に「350番」と添えられています。平均して1~2ページの断章が350章、続いています。
第1番から第35番で一区切り。このようにして、35番ずつ10のブロックに分かれている格好です。
では第35番を音読します。
第35番: 風景(駅・私)
ここに描写されているのはどこの駅なのか、主人公の「私」はどこから来てどこへ行くところなのか。そもそも、これはいつの時代のことなのか。ここまで読んできた「私」の人生のどこかの場面に当てはめようと、無意識に探ってしまいます。
でも、読んでいるこちら側も、気がつくと、ここに描かれている情景にポン、と置かれて、
過去も未来も関係なしに、「私」と一緒にその光景を黙って見ているばかりです。
この場面に出ている「駅舎の出入口があるのと反対側は林」というところはどこかなーと、勝手に想像しました。
特定できるとは思っていません。自分の知っている範囲の首都圏の鉄道地図をめぐってみたり、昭和の駅の画像を眺めてみたり。とても遠いところかもしれないし・・。
少し発想を変えると、昔は雑木林しかなかった地域に鉄路が敷かれ、駅の片側だけがとりあえず街として発展途上な場所でしょう。・・と、鉄道のことを調べる趣味をかすった身としては、考えたらキリがありません。
這(は)う 疾(はし)って
試し読みは、残念ながらここまで。電子書籍はなさそうです。