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音読 『感受体のおどり』 第7番

第7番を音読します。

(前半は略) 
 二つの手さぐりは一つの式に整えられないまま,べつべつに,しかももつれあって愁われた.

『感受体のおどり』014ページより


第7番: 物書き(私) 手さぐり

 ここまでは、主人公の人生のいくつかの場面が描かれていましたが、この第7番では創作の原点とも言える、ふたつの手さぐりの始まりが描写されています。

 創作をする方にとっては、この主人公のように自分一人で「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤する習慣は親しいものかもしれません。

 それとは別に、毎日の生活の中で、自分の触覚に響いてきたことを何とかつかまえたいのにつかまえきれないという「愁い」。

 私は、このふたつの「愁い」が、始めはきちんと読み取れなくて、「二つの?手さぐり、って?」と読み返してしまいました。

きっかけはなぜその服がそんなに着たくないのかその玩具が惜しいかそのまひるが哀しいかというようなあけくれの些事なのだが

本文より

一息に読みたくなるこんなフレーズに息切れしつつ、思い出すのは、上のような状況に幼い自分がぶち当たった時、言葉で正確に掴み取ったり相手に伝えたりしようなどとは考えたこともなく、かんしゃくを起こして周囲に当たり散らしたり、ギャーって泣いたりで済まそうとするタイプであったことです。

ちょっと難しい漢字は、
 惹かれる(ひかれる)  脆さ(もろさ)  些事(さじ)  愁い(うれい)
など。



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