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ぐずっている子どもを泣き止ませられた時と、数学の難しい問題が解けた時の達成感は一緒だ。

私の密かな趣味の一つは「ぐずっている子どもを泣き止ませること」
注意:我が子以外の子どもに限る。

非常勤の保育士として働いてる私は、朝、登園時に泣いている子がいると「やる気スイッチ」が入る。
ぐずっている理由は、園に来たくなかったり、保護者の方と離れたくなかったり等、子どもによってさまざまだ。
日によっても違う。

その日のその子どもは、どの言葉で気持ちが切り替わるのかな?と探りながら、いろんな声かけを試してみる。

そうして、うまくぴたりとハマる声かけがみつかると、子どもの気分が替わって、ニコニコ楽しく遊びだしたり、保護者の方に笑顔でバイバイできたりする。

その瞬間、達成感を感じて「やったー!!」という気持ちになる。
難しい数学の問題が、試行錯誤の結果、無事解けたときのような喜びが味わえるのだ。

*****

学生時代は数学の問題を解くのが大好きだった私は、ついついその達成感を味わいたくて、「子どもを泣き止ませる」と言う行為を、仕事以外の場でも密かにやってしまう。


先日、1人で電車に乗った時のこと。
近くには、お父さんと思われる男性とベビーカーに乗った1歳半くらいの男の子がいた。
電車に乗っていることに飽きたのか、走行中の列車の中で、男の子がぐずり始める。
お父さんが「もう少しだよ」と優しく男の子に声をかけるが、それでは収まらない。

お父さんは、スマホを取り出しその子に動画を見せ始める。
すると少し落ち着く男の子。
「ちゃんと、お父さん、子どもの好きな動画がわかっているんだなぁ」と、そんなやり取りがほほえましくて、ついついニコニコ顔で子どものほうをチラチラ見てしまう。

そのうちにまた、スマホの画面を触りたかった男の子が、触らせてもらえないことでぐずり始めた。


お父さんに気づかれないようにこっそり視線を子どもに送る。
(気づかれるのは気恥ずかしいので)
マスクをしていても目でニコニコした表情が伝わったのか、不思議そうにこちらに目線を向ける男の子。

男の子は、ベビーカーの上で少し体を動かして、お父さんの陰に隠れたり、またこちらを見たりする。
こちらも、視線を外したり、少し表情を変えて男の子を見たりする。

そうこうしている間に、男の子のぐずりが収まる。
ここでもまた、密かに「やった!」と一人、達成感を味わう。

周りから見たら「挙動不審な乗客」と思われているかもしれない。
しかし、難しい数学の問題が解けたような達成感が嬉しくて、ついついこっそりやってしまうのだ。

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