少しずつ友達が変化していく
友達に子どもができたらしい。
10年以上の仲で、なんでも話せる大事な友達。
本当におめでたい。学生時代から知っているあの子がママになると思うとなんだか不思議な気持ちもあるけれど、とにかく私も嬉しいのだ。
…どうして、そこで思考がストップしてくれないんだろう。
どんなに世の中の制度が整ったって妊娠・出産は女性にしかできないことで、女性側の変化は避けられないもので。
結婚した時点で友達にもいつかこんな日がくるかもしれないとわかっていた、つもりだった。
ライフスタイルの変化によって自然と疎遠になる、そんな話もよく耳にしていたけれど、いざ目の当たりにしたら、想像よりもずっとずっと悲しかった。
やだな、と思ってしまったんだ。
昔とはもう違うのだ。
そう簡単には会えなくなる。
悲しい。寂しい。苦しい。
彼女の第一優先事項は家族で、そんなのは当たり前のことなのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう。
失礼すぎる。こんなこと考えたくない。
子どもができたなんて何よりもおめでたいことなのに、友達がどんどん遠くに行ってしまったようで、心にぽっかり穴が空いてしまったみたいで、もう気軽に会って喋り尽くしてなんてことできないのかな、なんて、そんなことばかり考えている。
私にも、家族がいたら違ったのかな。
何よりも大切にすべき存在がいたら、こんなこと考えなくて済んだのかな。って。情けないなあ。
行かないでほしい。もっとたくさん会いたいし話したい。
でもそんなのお菓子を買ってもらえず駄々をこねているだけの子どもと同じだ。
彼女には何より大事にすべき命があって、産んで、育てて母として家族として生活をしていかなければいけない。分かってるんだ、そんなことは。
私だって、母子ともにずっと健康でいてほしいし、彼女には幸せでいてほしいと心から願っている。
彼女の口から旦那さんの惚気を聞くたび、ああ本当に今幸せなんだと温かい気持ちになるのだ。
なのに、芽生えてしまったこの感情の処理の仕方を、誰か教えてほしい。
なんでも話せる友達だけれど、これだけは絶対に言えないや。ごめんね。
でもどうか、いつまでも変わらず友達でいてね。