眠らない
今夜はとても素敵な良い夜になりそうだ。
でも、僕らに何があったのか、誰にも分からない。
そして、僕も何があったか、誰にも教えない。
人間の世の中は、たいていの事が、そういう物事物語ばかりだ。
今までの僕は、それを良しとしていない。
そして、今の僕もまだそれを好ましく思っていない。
だが、この人間の世の中、この世界で生きていくには、変えなければ良くない事がある。それは例え、ナンバーガールとの出逢いや、透明少女との出会い。日常に生きる少女とのすれ違い、黒目がちな、彼女たちとの出逢いと擦れ違い別れの原体験で生きている僕であったとしても。
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歴史というのは繰り返すもので、始まる歴史もあれば、終わる歴史もあります。そういった過去の僕ら、ロックスターたちとの出逢いもまた、新しく何度でも始まれば終わり、何度でも繰り返すのです。
お姫様は、働くことを苦とはせず、いつも明るく、いつも病気もせずに、惑わされずに、そうして生きていって欲しい。でも彼女は布団に入ると、悔やみ、悩み、悲しみ、自暴自棄になるほどまでに苦しみ眠りにつくのです。
僕は、そんな彼女が素晴らしく素敵に思う。
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「スピーカー二つあるって事はそこに二次元の世界があるって事だろ?」
あいつはそう僕に言った。
あの夜、あいつは僕が何を抱え、何を言いたいのかを知らなかったはず。
でも確かにあいつは僕にそう言ったんだ。
あの時、僕らは生きていたんだ。
僕らはあの日あの時あの瞬間、生きていたのだ。
いつか今この瞬間が過去となり終わってしまったとしても。