読書「こちらニッポン…」
こちらニッポン…という小松左京の本を読んだ。
八十科むじなさんがめっちゃタイトル思い出そうとしてたやつ。
気になったのでとりあえず読んでみた。
オチはともかく(笑)面白く読みやすい。
これ、1970年後半(多分)の日本が舞台なのだが、そこまで大きく時代が違うって感じないのがすごい。
大まかな生活の下地はあまり変わっていないのかもしれない。
もちろん、自分の生まれる前年刊行とかなので、時代がかったものもだいたいイメージ出来たり知っていたりするのもあるが。
なんか壮大な思考実験みたいな感じ。
突然、人間がほぼすべて消失する、という途方に暮れるところから始まる。
残っているのが自分だけでないことを知り、人の消え失せた都市でのサバイバルが始まる。
広大な閉鎖空間だ。
その際の、例えば電気などのライフラインの維持だったり、連絡手段、移動手段などの問題や、普段いかに都市機能や社会は維持されているのか。
それらは現実に、大きな災害に遭ったりすると痛感することでもある。
だが災害は復興することが出来る。
でも、人が存在しなければ維持することすらままならないのだ。
日々の暮らしは、それに従事するたくさんの労働者や専門家がいて、成り立っている。
作中、同じ境遇の「消え残り」が続々と見つかるが、価値観や属性がバラバラの人間が集まる閉鎖空間は、今度は人間関係の問題になる。
この作品では比較的さっぱりとしている。
おそらくそれが主題ではないからだろう。
オチについては、まあ、途中で「あっ…」ってなって察するところがある(笑)
それでも。
程良い緊張感があってとても面白い。
物質的余裕のある極限状態で、人はどうするのか、みたいな。
でも、作者、途中でちょっとめんどくさくなったんか?と思わなくもない(笑)