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論文を掲載していただきましたよ、のお知らせ

僭越ながら、筆者の論文を掲載していただきましたよ、というお知らせです。タニリョウジが理事を務める、コミュニティ政策学会の学会誌 第22号の特集論文として掲載されます。

Amazonを見ると、現在予約受付中で、年明け1月10日発売だそうです。

今回の特集は、社会思想家の 武井浩三さんと、株式会社エッセンス、NPO法人ミラツクの西村勇哉さん、東京都市大学の坂倉杏介先生の鼎談をもとにして、コミュニティ政策論上の示唆を述べるというものです。

書いている途中、さらに校正時に読み返して、こういうことをいうのもなんですが「我ながら面白い論文だ」と感じていました。それは、文章が美しいとか、指摘が優れているといったことではなく、「いま現在、まちづくりやコミュニティ政策周辺に関わっている人間の一人として、モヤモヤと考えていたことをちゃんと言葉にできた」というすっきり感があったからです。

それってどういうことか。せっかくなので、少しだけ解説をしようと思います。

21世紀に入り、まちづくり活動は専門化、事業化が進んできたと思っています。平たく言えば、もっぱら素人の地域住民がボランタリーな持ち出しでどうにかこうにかやっていたものだったのが、専門性を持つプロや企業体がちゃんと収益を得ながら事業として営んでいく、つまり「うまくやる」ものに変わってきている感じがあります。

それは、まちづくり活動の持続性や効果を本気で高めていこうとすれば、自然とそうなる話だと思っていますし、そうなるように様々な政策誘導があったものと認識しています。

このように「うまくやる」人が増えてきたこと自体は、エンドユーザーの立場からすれば、地域課題の解決に資するサービスが増えたということを意味していて、素人が手弁当でやるしかなかった時代に比べれば、ずっと豊かな社会が実現していると言えます。

しかし一方で、専門化、事業化するということは、しかるべき目標を定め、その実現に向けてリソースを投入していく、というビジネス思考化するということです。ましてプロや企業がやる以上、就活や婚活、妊活のように、費用対効果、コスパ、タイパが強く意識されるようになります。目標や理念からズレることをするような不規則行動は忌避され、無駄のないようマネジメントされていきます。その結果出現するのは、目的や目標、管理されたtodoからずれたことが案外しづらい、貧しい社会でもあったりします。それが良い悪いではないですが。

そういった状況の出現に、おそらくは研究者や支援者の一人として谷も多少なりとも加担してきた面があるだろう、という反省があります。そうして表れたまちづくりは、確かに、強制に寄らず自主的に行われ、持ち出しではなくお金を得て継続的に行われ、専門性を高めて優れたサービスを提供できるようになってきたかもしれません。しかし、そこだけにまちづくりの射程を狭めて来はしなかったか。

私がかつて学生の時に、まちづくりに心を惹かれた可能性みたいな部分は、どこか後退してしまってきているような時代の気分がありました。

ただ、「じゃあ、そこでいう心惹かれた可能性ってなんなんですかね?私の個人的な感傷でしかないんじゃないんですかね?」という疑問もどこかにありました。実際、そういう感傷がそう見せている部分も多少はあると思っています。

しかし、それだけではないぞと。私が心惹かれたまちづくりの可能性とはなにか、ということについて、今回の特集論文で、個人的に整理することができたという手ごたえを感じています。

執筆の依頼をしてくださった滋賀大の宗野先生、ヒントとなる鼎談を交わしてくださった武井さん、西村さん、坂倉先生のお陰です。ありがたいことです。

もちろん、特集の鼎談自体も刺激的な内容を含んでいますし、それ以外の論文もまさに今!っていう感じがして面白いです。おすすめです。そして私は、まちづくりの可能性について、一体何を考え、どう整理したのか。ぜひ本書を手に取って確認してください。

まだクリスマスも終わっていない時期から年明けの話をするのもなんですが、2025年の御年賀として、ご予約をポチっとしていただけると嬉しいです。

ということで、新しい論文の宣伝でした

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