わからなくてもいい。それでも聞いてほしい女性の話。
これは、女性の体についてのお話です。
でも、男性にも読んでいただけたらいいなと思いながら、書きます。
最近メディアでも話題になっているので、男性でも見聞きすることが多いかもしれない、女性の身体についてのお悩み。
もう聞き飽きたという方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、どうか少しだけお時間をいただきたいのです。
私は、もうだいぶ前から、この記事の下書きを作成しつつも、何度も書き直しています。
話したいことはあるのですが、やっぱりこの話をするのはちょっとだけ怖い。
自分が被害者で、だれかを責めているように聞こえてしまうかもしれない。
私は、だれかを責めたいわけではない。
でも、ちょっとだけ耳を傾けてほしい。
そんな気持ちで書きます。
私は、あるとき、職場でひざ掛けを使っていました。
その日は、月の障りの日。
いろいろな症状がある方がいますが、私の場合は、数日前から身体が重くなり、眠くなり、イライラします。
お腹も頭も痛くて、寒気と火照りが一緒になってやってくる。
そんなとき、ひざ掛けは重宝します。
厚着をすると、火照りが気持ち悪い。でも、ひざ掛けは、痛いお腹をそっと包んでくれるから。
学校でも、冬になると小さなブランケットを持ち歩く人は多かったですし、女の子は身体を冷やさないようにと言われて育ちました。
だから、職場でもひざ掛けをあたりまえのように広げました。
ところが、昼休み、課長から呼び出されました。
「ここは家じゃないんだから、毛布はだらしない。来客者からも見えるのだから、使わないでくれ。」と言われました。
ぴしゃりと水をかけられたような気持ちで、私は机に戻り、ひざ掛けをしまいました。
ひざ掛けを使っている理由は言えませんでした。
その日は、寒気とお腹の痛さをずっと我慢しました。
それから、生理が来るたび憂鬱なきもちになりました。
カイロを貼っても、腹巻をしても、のぼせたときに気軽に外せなくて気持ち悪かったのです。ピルや漢方を飲んで、少し楽になることがあっても、つらさや苦痛が完全に消えるわけではありませんでした。
でも、自分の体調管理をできないのは、自分のせいだと思っていました。
これは、大人の女性なら我慢しなければいけないものだと思うようになりました。
次に働いた職場では、ひざ掛けを使ってよかったので、冬場はみんな使っていました。
接客の多い仕事でしたが、そのことでお客様から文句を言われたことはありませんでした。
私は、以前の職場の上司が間違ったことをしたとは思いません。
たしかに、職場でひざ掛けを使っているのが、だらしなく見えてしまうというのもわかります。
私自身も、甘えかなと思ってしまう部分もあって、何も言えませんでした。
でも、もしかしたら、女性の体の悩みをもっと男性にもきちんと伝えられていたら、上司はちがう言葉をかけてくれたかもしれないとも思うのです。
たぶん、生理のつらさを我慢してしまう女性はとても多いと思います。
私自身も、生理の日とそうではない日は、あきらかにこなせる仕事の量は異なりましたが、それでもできるだけ同じように過ごさなければいけない、とずっと思っていました。
でも、男性の多い職場から、女性の多い職場に変わったとき、少し考えが変わりました。
二つ目の職場では、私と同じ職務をしているのは、女性だけでした。
女性だけだったので、生理でつらいというときに、みんなそれを口に出して言っていました。
つらいと口に出せるから、みんなで助け合いやすい空気ができていました
休憩時間をずらしてもらったり、つらいよねと声をかけてもらったり、そんな些細なことでも、心はだいぶ軽くなりました。
つらいのは私だけじゃないんだ、我慢しなくていいんだと思えることが本当にありがたかったのです。
そして、我慢するということが、必ずしも正しいわけではないのかもしれないと思いました。
ひとは、自分が我慢をしていると、相手にも我慢させることがあたりまえだと考えてしまうような気がします。
我慢するのは、立派なことかもしれない。
でも、あなたの我慢によって、だれかの我慢を強いることにもなりかねないとも思うのです。
そんな言い方をするのは、あまりよくないことですね。
我慢をしている人が悪いわけではない。
我慢させてしまっている環境に、問題があるのだと思います。
でも、その環境は、みんなが我慢をしていたら、この先も変わらないのではないかと思うのです。
職場や家庭で、生理の日でもふだんの日とできるだけ同じように振舞おうと努力すること、それはとても大変なことだと思います。
でも、女性たちが我慢をしていると、男性は我慢できるのが当たり前だと思ってしまうのではないでしょうか。
自分の母親や妻など身近な女性たちが我慢する人だったとしたら、男性はどうやって女性のつらさを知ったらよいのでしょう。
男性たちが、女性のつらさを知らないのは問題かもしれません。
でも、女性から伝えないと、たぶん男性は理解できないと思うのです。
断っておきたいのは、今回の記事で紹介したことは、すべての女性に当てはまるわけではなく、これは私の場合に過ぎないということです。
あまりこうした悩みのない方もいらっしゃるかもしれませんし、気を遣われるのは嫌だという方もいるかもしれません。
でも、あなたの親しいひとも、もしかしたら、ずっと言いたくても甘えかもしれないと思い込んで我慢していることがあるかもしれません。
あなたはそんなことはないと自信をもって言えますか?
もし自信を持っている人は、その自信は捨ててほしいです。
わかっているつもりになったら、気づいてあげられないことがきっとあります。
わからないことがあるのかもしれない
話せないこともあるのかもしれない
と、気づかってもらうだけでも、気持ちは楽になるし、相談しやすくなります。
あなたの大切なひとはもちろん、あなたと関わるすべてのひとに、どうかやさしさを分けてください。
そして、わたし自身も、自分の悩みを知ってもらうだけでなく、ほかの人の悩んでいることに耳を澄ませたいと思っています。
女性たちだけでなく、もちろん男性も。
悩んでいることを、我慢するのではなく、誰かに相談することが解決の糸口になるということを、みんなが認識できるようになるといいなと思います。