組織改革の必要性
私は、様々な自治体の公立小中学校の先生向けにGIGAスクール構想により配備されたタブレットをどのように活用すれば、子供たちの主体性や思考・判断・表現力等が伸ばせるのか研修しています。もちろん、私が正解を教え込むのではなく、様々な考えるきっかけを提供して、先生たちと一緒に考えながら答えを探すような研修をしています。
伝統的に多くの学校では、数値として図りやすい知識、技能の育成にどうしても力を入れがちになっています。
しかし、変化の激しい世の中において、その時代に応じて、自分自身をアップデートしていき、他者や地域の課題を持続可能なビジネスとして仲間とともに解決していけるような人材を育てる必要があります。そのような人材は今までのテストの点が取れるような能力ではなく、非認知能力に焦点を当てて育成していくことが大切になってきています。
特に、行き過ぎた資本主義により、環境への負荷が限界を迎えつつあるこの地球において、様々な課題を発見し、今までにないやり方や、今までにある解決策同士を組み合わせるなどして、新たな課題解決方法を考え、実践できる人材が必要となります。
また、日本においては少子高齢化にまつわる課題や特定の業界における課題(教育業界でいうと教員のなり手不足もその中の1つ)を解決していける人材も必要です。
そういったこともあり、0→1を生み出せるようなクリエイティビティの育成も1つ重要なキーワードとなっています。
今は時代の転換期なので、まずは未来を見据えながら、どのように子供を育てていくのか?また、先生としてどのようなあり方で子供たちと接するのか?そういったマインド的なところも学び直す必要があります。
定期的に研修に伺っている学校でこのような質問をいただきました。
「タブレットとノートのバランスをどうしたらいいか?」「子供たちにアプリの使い方を教えるときどのように教えたらいいか?」
このような質問は先生たちの授業スタイルや子供たちの状況によってまちまちになるはずで、1つの答えは出ません。なので、様々な方と会話しながら自分なりの答えを探していく必要があると思います。
そもそも、自分で考えることすら放棄しているようにも思います。調べれば、ある程度様々なやり方は出てくるはずですが、そういったこともしていないのでしょう。
これは、一見すると個人の問題のようにも思いますが、最近私が感じるのは、このような質問が出るのは組織の問題だと感じています。
自分たちで学び合い、支え合えるような組織になっていないので、ちょっとした質問を共有したり、解決したりすることが出来ません。
解決しないと業務に支障が出るわけではないので、それらの問題はそのまま放置されて、研修講師が来るときにちょっと聞いてみようとなっているのだろうと思います。
先日、次世代の経営や進化型の組織を研究するラボ「手放す経営ラボラトリー」を運営している坂東さんとお話しする機会がありました。
坂東さんはいわゆるティール組織をつくるプロフェッショナルです。
ティール組織については、下記のリンクをご覧ください。
組織には5つの段階があります。
トップが恐怖で支配するレッド型の組織から始まり、1つ段階を追うごとに自己決定できる場面が増え、主体的に学び合える組織に変わっていきます。
ある学校で上記の組織図を見せながら、自分たちが所属している組織はどの段階か聞いてみたことがあります。大体はレッド型かアンバー型でした。
両方ともピラミッド型の組織で上位下達でトップ以外は思考することが出来ない。もしくは、限定的にしか自分で考えて動くことが出来ません。
国の教育方針としては、子どもの主体性を伸ばす教育にシフトしていきたい流れですが、その子ども達と直接関わる教員の主体性が担保されていないのが現状です。
坂東さんいわくティール型の組織にしていくには、自己決定出来る権限をトップからメンバーに移譲することが大切と仰っていました。
また、それぞれが主体的に動くようにするためには、メンバー間の関係性の向上が大切だそうです。
関係性を向上していくにあたっての秘訣は、雑談の量を増やすことです。そのために、チャットツール等を用いて様々な仕掛けをしていくことが大事だと教えていただきました。雑談量を増やし、心理的安全性を高めて、あるがままの自分を認めてもらい、自分の強みを生かした関わり方ができるようにするためでしょう。
いくつか、雑談増やすための仕掛けを教えてきましたが、その1つがアドバイスプロセスです。
これは、組織のメンバーが、自分がやりたいと思ったことを好きにやってもいい代わりに、何かアクションをする前に誰でもいいので、自分のやりたいことを相手に話し、その人からフィードバックをもらう、ただそれだけです。
フィードバックをもらった結果、反対されても自分がやりたいと思ったら、自分の権限でやっても構いませんし、止めても良いそうです。
自己決定する権限を委譲すると、トップの意に反した思いもよらない行動が増える恐れがあります。
そういったことも、アドバイスプロセスを経た上での自己決定であれば、自然と修正されます。
探究しながら、子供たちが主体的に考え、行動できるようなにするためには、教員が主体的に考え、行動できるような組織構造に変えていく必要があると思います。
いきなり、全ての権限をメンバーに移譲して、自己選択、自己決定していける環境にするのは難しいかもしれません。
でも、まずはアドバイスプロセスを導入して、先生同士の雑談を少しでも多くするような仕掛けを導入していくと、自分たちで学び合い、支え合えるような組織になっていくのではないでしょうか。
私は授業改善や授業改革をするには、まず組織改革が必要なのだと考えています。
枚方市で先生たちが住むシェアハウスを運営しています。
https://waigaya2021.wixsite.com/home
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