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教師の欲望/生徒の希望、そして教師の都合/生徒の苦悩
オンライン授業はどうすれば?
ステイホームが求められている大型連休に、多くの教員が「オンライン授業」の研修会に「オンライン参加」しています。
オンライン授業というのは、どうやってやればいいのか?
オンライン授業では、どうやって評価すればいいのか?
オンライン授業で、児童・生徒に学力はつくのだろうか?
気持ちはよくわかりますが、これらはあくまでも「授業をしたい!」という「教師の欲望」に基づく「教師の都合」です。
「生徒の希望」と「生徒の苦悩」は、おそらく少しばかり別のところにあります。
〈教師や保護者/児童や生徒〉のギャップ
教師や保護者が求めているものと、児童・生徒が求めているものとの間には、大きなギャップがあります。
N高の創設メンバーが目をつけたのは、まさにこのポイントでした。
教師は授業をしたいし保護者は勉強をさせたいけれど、児童・生徒が学校に求めているのは、友だちをつくること、仲間をつくることです。
N高をつくった川上量生さんは、2017年5月の講演でこう言っていました。
「ネットでも、きっと友だちはつくれるはず!」
授業よりも休み時間の方が楽しいし、昼休みや放課後の教室やグラウンド、登下校時の通学路こそが、多くの児童・生徒がいちばん生き生きと目を輝かせる時間です。
With コロナで、その時間が奪われているのです。
だから、教師も保護者も生徒たちに学力をつけさせることばかりを考えずに、どうしたら彼らが友だちや仲間をつくって自分の「居場所」を見出せるようになるのかを考えるべきです。
「授業」や「学習」だけではなく「学校」を!
50分間講義するだけとか、授業動画をつくって見せるだけとか、課題を出してやらせるだけとか、HRで一方的にしゃべるだけとか、校長挨拶をYouTubeで配信するだけでは、児童や生徒が仲間をつくって自分の「居場所」をつくることはできません。
教師は、今までどおりに授業をしたいという欲望だけにとらわれず(もちろん、それも大事ですが)、「どんな友だちがいるんだろう?」とワクワクしながら希望を抱いて入学したり進級したりしたはずの子どもたちが、友だちをつくったり仲間をつくったりするための時間を見出せていないかもしれないという現実に対する配慮をすべきです。
通学路での偶発的な出会いと語らい、休み時間の無駄話、部活終わりの買食いや悪ふざけ・・・雑多な出会いにあふれた学校生活をいかに保障するかを考えなくてはなりません。
コンテンツよりもコンタクト。
オンライン授業やオンライン学習よりも必要なもの―オンライン学校。
自戒を込めて。