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大学の単位認定を問い直す──水産高校の補講から考える学びの実質化

魚をさばく補講が問いかけるもの

 先日、宮城県水産高校を訪れた際、調理実習室で補講の様子を目にする機会があった。補講と言っても、全日制普通科の成績不振者向けの補講のように基本的な事項を習得させようとするものではない。欠席したためにできなかった実習に取り組む補講である。卒業と同時に調理師免許をもらうことができる彼らにとって、欠席した時の学びをそのまま空白にしておくわけにはいかないのだ。

「出席=学び」ではないという違和感

 大学の講義では、一定の出席回数を満たせば単位が認定されることが一般的である。しかし、これは「学びの実態」とどこまで対応しているのだろうか。出席して講義はろくに聞いていないのに、そつなくリアクションペーパーを書き、要領よくレポートを書いて単位を取得してしまう学生もいる。何らかの事情で欠席が続いてしまったために、単位取得を断念せざるを得ない場合もある。欠席が3分の1未満であれば、つまり3分の1近くの講義を聞いていなくても、レポートさえ出せば単位が認定されてしまうことさえある。「学んだかどうか」よりも「出席したかどうか」が評価の基盤になっていることが多いのである。

 一方、水産高校の補講では、欠席をそのまま放置せず、実技を通じて確実に技能を身につけることが可能な制度になっていた。ここにあるのは、欠席者を切り捨てず、学びの機会を保障しようとする姿勢である。

 大学における単位認定も、単なる出席管理ではなく、学びの実態を反映する仕組みへと変わる必要がある。

大学でも「実力主義」の単位認定を

 水産高校の補講のように、単位の実質化を重視した学びの仕組みは、大学教育にも応用できるのではないか。特に、出席回数や一回限りの試験結果に依存する現在の単位認定のあり方を見直し、学びのプロセスを柔軟に支援する仕組みを導入することが求められる。

 その具体的な方法として、「補講」や「学び直しの機会」の柔軟な制度化が挙げられる。大学の講義科目でも、出席できなかった学生に対し、オンデマンドの授業動画やラーニングマネージメントシステムによる課題提出など、学びを保障することは可能だ。学生の事情に合わせ、合理的な配慮の範囲内で対話型の補講やアクティブ・ラーニング型の学習支援をオンラインで行う仕組みを整備することも可能である。

「学んだ」と言える仕組みへ

 水産高校の補講に見られるような柔軟な学びの仕組みは、単位の本質を問い直す視点を提供してくれる。大学の単位認定にあたって、一回限りの試験だけ評価することがどこまで妥当であるのかを問い直す必要があるし、生成AIが多くの情報にアクセスしながら推論を重ねて回答してくれる時代に一回限りのレポート提出で単位認定することの公正性についても議論する必要があるだろう。テクノロジーを導入することによって、15回の授業の学びの過程と実態に基づく評価を取り入れることが可能な今、より公平で公正な単位認定の仕組みと、単位の実質化が求められている。

★このエッセイは、以下のようなプロセスを経て出来上がった草稿をもとに、ChatGPTのCanvasモードを使って書き上げました。


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