
③世界を聴く愉しみ~インドネシアのガムラン音楽
日本に暮らす現代の人々は
音楽というものは全てドレミの音階で出来ていると誤解しがちだ。
私は大学時代、世界中の音楽世界の入り口を楽しく伝えてくれる民族音楽学者の小泉文夫さんの本の虜になった。
神秘の国インドの楽器シタールの印象的な音と楽器そのものの圧倒的な存在感✨
ブルガリアの地声の女性合唱団の強烈な響き✨
南米アンデスのフォルクローレの素朴で乾いたケーナの響きなど✨
今も忘れられない音がたくさんある。
その中でもインドネシアのガムラン音楽は衝撃的だった。私は1年間インドネシア語を勉強した後、芸能の島バリに音楽芸能を観る旅に出た。
今はバリの芸能もかなりプロ化していると思われるが、30年前はまだ農村ごとに驚くべき高いレベルの芸能が多く存在していた。彼らは祝い事などの日常生活に密着した芸能としてガムラン(青銅打楽器のオーケストラ)などを村の年上の者から下の者へ伝えていた。そのレベルはヨーロッパのプロのオーケストラ団員も驚くほどのものだったと思う。小泉文夫さんも著書の中で、「大編成のガムランでは二十数個の楽器が使われ、奏者も二十数人。西洋のオーケストラに匹敵する豪華さです。音量も、そしてダイナミック・レンジも西洋のオーケストラにならびます」と言っている。因みに音階は、五音音階のスレンドロと七音のペロッグの2種類だそうだ。
バリの芸能が、観光化の波にのまれ、その独特な世界が荒らされたり失われたりせず後世まで生き続けることを祈るばかりである。
音楽の魅力というものを考える時、忘れてはならないのが「世界を聴く愉しみ」ではないだろうか。
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バリのガムランはスピーディで賑やか、
ジャワのガムランは宮廷音楽の色彩が濃く
ゆったりしている印象です♪♪