Next Career Lab. #8 - 日本にはパーパスが必要だ,ゲームで絶好調のCAさん,転職の面接は第2希望から受けろ,自分がいなくなったら会社が困る? etc
Next Career Lab.(ネクストキャリアーラボ)は「次のキャリアの"一手"を考えるメディア」です。
キャリアを考えるヒントをお届けして、みなさんとキャリアの攻略法について考えていきたいです。
本記事の内容は次の通りです。
1. Biz Update
2. 決算から読み解く業界動向
3. 失敗を語ろう
4. 質問コーナー
5. 今週のオススメ本
6. 雑談&コラム紹介
Next Career Lab. について詳しく知りたい方は⬇︎の記事からどうぞ。
バックナンバーはこちらから!
それではいきましょう!
1. Biz Update - 今、日本に必要なのは「パーパス」だ -
今週は「パーパス経営」に注目です!
最近ニュースなどで「パーパス経営」という言葉を耳にするようになりました。
パーパスは「存在価値」などと訳されたりもしますが、なぜ最近になって注目されるようになったのでしょうか。
企業にとってのパーパスは、企業活動を通じて"社会に対してどんな影響を与えたいのか"、また"社会の中でどんな存在になっていきたいのか"を宣言するためのものです。
例えば、世界で活躍する企業のパーパスには以下のようなものがあります。
Nestle(ネスレ):
食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます。
Google(グーグル):
世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。
SONY(ソニー):
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
パーパスを見ればその企業が「なんのために存在するのか」がわかる、というわけです。
さて、少し話を戻しますが、なぜパーパスが注目されているのでしょうか。
その1つには「Z世代の価値観」があります。
Z世代とは「1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代」のことです。
実は世界的にみると、このZ世代が世界の全人口の約32%を占めているのが現状で、今後10~20年で消費の中心を担うのもこのZ世代と見られています。
Z世代の価値観は「モノよりコト」を重視したり、デジタルネイティブであることなどのいくつかの特徴がありますが、消費に関して「自分と共通の哲学を持っているブランドを好む」という特徴も持っています。
(世界と日本のZ世代③ ―「パーパス」を大事にするZ世代が支持するブランドとその理由― より引用)
上の絵は、マッキンゼーが行った調査結果です。Z世代の「約71%」が自分と同じ考えを持ったブランドを買うと回答しています。
つまり、この先消費の中心になるZ世代の価値観に合わせて、動きが早い企業は自社の「パーパス」をアピールして若い世代に魅力を訴えていこうとしています。
今の社会は、SDGsやダイバーシティ、それにESGなど社会問題に対する「標語」が毎日のようにニュースで取り上げられ、企業の対応も注目されています。
このような社会的なテーマに対して、企業としてどんなスタンスを取るのかを表すのもまたパーパスです。
日本はモノづくりは得意ですが、圧倒的な熱狂や共感などの体験やコトづくりの技術はまだまだ世界に及ばない、というのが現状だと思います。
今後、日本の多くの企業もパーパスを掲げていくと思いますが、各社がどんなものを出してくるのか注目したいです。
以上、今週のBiz Updateでした!
2. 決算から読み解く業界動向 - あの人気ゲームで絶好調のCAさん -
今週はメディアやゲームが絶好調で急成長中のあの企業です!
みなさんどこだかわかりますか?
そうです、今週は「サイバーエージェント」に注目です。
サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェント(CyberAgent, Inc.)は、インターネット広告事業、メディア事業、ゲーム事業を主とする日本の会社。日経平均株価の構成銘柄の一つ。
Wikipediaより引用
サイバーエージェントは時価総額「約1兆円」に迫り、広告、メディア、ゲームとマルチに事業を展開する日本を代表するテックカンパニーです。
■ サイバーエージェントのサービス
決算情報に触れる前に、サイバーエージェントのサービスを軽くおさらいすると、主に3つ事業を持っています。
・インターネット広告事業
・メディア事業
・ゲーム事業
元々インターネット広告から始まった会社なので、収益の柱はこの広告事業です。
しかし、最近は少し事情が変わっています。
第二の柱として注力してきたABEMAを中心としたメディア事業、そしてヒット作を産み続けているゲーム事業が育ち、メキメキと収益力を上げています。
特に最近話題となった「ウマ娘」の大ヒットにより、ゲーム事業の売上、利益は昨年に比べて"爆伸び"している状況です。
投資がかさむABEMAへの資金を、広告とゲームの売上でまかなうというバランスを保ってきたのが最近の大きな流れとなります。
■ 決算概要
(2021年通期決算発表 決算説明会資料 より引用)
では決算概要を見ていきましょう。
[決算概要]
・インターネット広告事業
売上高は前年比+19.3%と堅調な伸びを見せている。営業利益も+7.1%と成熟した事業でありながら二桁増収を達成。
・メディア事業
売上高は前年比+45.1%と確実に伸びている。赤字の状況は続いているが、まだまだ投資を続けて売上アップを目指すと予想される。
・ゲーム事業
営業利益 964億円は前年比で「3.2倍」ととんでもない結果に。売上高も爆伸びしており、このバブルがどこまで続くのか注目されている。
やはり注目は「ゲーム事業」でしょう。
売上高前年比 +68.6%、営業利益前年比 3.2倍は驚異的な結果です。
そしてもう1つ注目はゲーム事業の営業利益率です。
昨年(FY20)のゲーム事業の売上高は1,558億円で、営業利益は303.3億円でした。営業利益率は「約20%」となり、他の業種に比べて高い水準でした。
しかし今年(FY21)の営業利益率はなんと「約37%」です。
簡単に言えば、コスパ良く稼げる、めちゃくちゃ儲かるビジネスになっているということです。
■ 今後の展開予想
さて、好調な決算を発表したサイバーエージェントでしたが、気になるポイントもあります。
それはFY21 4Qでのゲーム事業の売上減少です。
3Qと4Qでは、約140億円もの差があります。果たしてこれはウマ娘バブルの終わりを予期しているのでしょうか。
このように変動が大きいことから、サイバーエージェントはFY2022の業績予想の見合わせを発表しています。
とはいえ、サイバーエージェントはゲーム1本で戦う企業ではないです。
あくまで注目したいのは、広告、ゲームで確実な利益を作り、メディア事業に投資して、メディア事業の売上が伸びる、というバランスを維持しているかだと思います。
素敵なパーパスもできたみたいなので、今後さらに注目したい企業です。
最後に、サイバーエージェントという企業を知るためにオススメの本を紹介して終わりにします。
この本はサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏がサイバーエージェント設立から現在までの苦悩を描いた本です。
臨場感があって、小説のように一気に読める本なので、起業家の苦悩を知りたい人はぜひご一読を!
3. 失敗を語ろう - 本命企業から面接を受けるのは間違い -
今週の「失敗を語ろう」のコーナーは、"転職活動の面接"に関する話です。
面接は転職活動における「最大の関門」といえると思います。
書類審査を通過して、あとは面接を通過すれば念願の採用...となると自然と緊張したり、力が入るのも当然です。
今回タイトルで「本命企業から面接を受けるのは間違い」と書きましたがこれについて解説していきます。
私はこれまでの転職経験から、面接は経験すればするほど上達するものだと考えています。
つまり、面接でうまく立ち回れるかどうかは、受けた面接の回数次第だと思います。
その前提に立つと、本命企業から面接を受けるのではなく、第2、第3希望から面接を受けた方が、本命の面接で力を発揮できると思うのです。
私自身、過去の転職活動で真っ先に本命企業から受けてしまい、面接でうまく自己PRできずに不採用となってしまった経験があります...
逆に本命がダメで、次に受けた企業では力を抜いてスラスラと話せたりすることもありました。
転職活動をしていると、入りたい企業から面接を受けて採用を目指すという動きをしがちですが、そうではなく、第2、第3希望の企業を混ぜつつ、「面接に慣れる」という視点を取り入れいくべき、というのが今回の提言です。
面接が回数をこなすだけうまくなる理由は「面接のパターンが固定されている」ことだと思います。
実は、面接のパターンは9割方決まっています。それは以下のパターンです。
[ 9割の面接の流れはこれ!! ]
① 自己紹介
② 職務経歴書確認
③ 転職理由・志望動機
④ 逆質問
ほとんどの面接がこの流れで進みます。たまに順番が入れ替わるか、意外な質問が飛んでくるかくらいです。
重要なのは、基本的な質問に対してしっかりと自分の意見を伝えられるかどうかです。
この固定パターンをどれだけこなして、自分の中で正解パターンを作れるかが合否の可能性に大きく影響すると思います。
騙されたと思って、1度お試しあれ!
【今日のポイント】
「面接は本命企業から受けるな」
本命が後、それ以外が先。面接の固定パターンを実践で学ぶことで、本命企業の面接で力を発揮できる。
4. 質問コーナー - 自分が退職したら人手不足で恨まれますか? -
今週の質問コーナーはこちらです!
転職するときに、自分がいなくなったら会社に迷惑を掛けてしまう...そんなことを考える心優しい人もいるかと思います。
しかし断言しますが、これは完全に間違いです。
もちろん、企業として人手はあったほうがいいので、誰かがやめることでダメージは間違いなくあります。
だけど、人のやりくりを考えるのは企業の人事部の仕事です。(ベンチャーは事業が異なるかもしれませんが)
いずれにしろ、これは冷たい人間とかそういう問題ではなく、企業が人材の流動を考えて採用戦略を考えるのは至極普通のことです。
なので、転職する側としては「自分が転職したら●●さんに迷惑をかける」とか「業務が回らなくて大変なのでは...」とかを考える必要はありません。
1番大切なのは自分の人生です。会社に尽くすことではありません。
ただ、自分がいなくなった会社のことが気になる人でもできることも確実にあります。
それは「しっかりと引き継ぎすること」です。
なんだ当たり前のことを、と思った方もいるかもしれませんが、転職者ができることはこれに尽きます。
引き継ぎさえしっかりすれば、恨まれることはないはずです。
会社にできるだけ迷惑を掛けずに辞めたいと思うであれば、辞める少し前から計画的にマニュアルを作るなど、引き継ぎをスムーズにする手は打つことができます。
自分がいなくなったら迷惑がかかるかな...と考えるのではなく、どうやったら自分がいなくても業務が回るかと考えた方が前向きで良いのではないでしょうか。
こんな感じで答えていくので、随時質問お待ちしています!
5. 今週のオススメ本 - コンサル1年目が学ぶこと -
今週紹介する本は、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身で現在はビジネスコンサルタント、作家、ブロガー活動と幅広く活躍する大石哲之著作の「コンサル1年目が学ぶこと」です。
この本は「コンサル1年目が学ぶこと」とタイトルにありますが、若手コンサルタントだけに役立つ内容ではありません。
全てのビジネスマンが身につけておきたい"ベーシックスキル"を体系的に解説してくれる良書です。
まとめると本書を読むことで、
・職業を問わず、業界を問わず、15年後も役立つ普遍的なスキルを
・社会人一年目で学んだときの基礎的なレベルから
理解できるようになります。
『はじめに』より引用
本の内容は、話し方、考え方、デスクワーク術、ビジネスマインドとかなり実践的な内容が多く読んだらすぐに活用できるものが多いです。
今回はその中からいくつか実際に紹介したいと思います。
動かしようのない「ファクト」の筆頭である「数字」で語る
ファクトとは、事実のこと。つまり自分の経験談や、気の利いた言葉ではなく、動かしようのない事実をさします。事実の最たるものは「数字」です。数字は誰も動かしようもなく、否定も仕様がありません。ですから、数字でものを言うのが、いちばん効果的です。
『数字というファクトで語る』より引用
若手時代にどうやって成果を出すかと考えたときに、うまく話したり、人脈なんかの時間によって得られる資産を使うのは難しいものですよね。
そこで使えるのが「数字で語る」という武器です。
数字を正確に把握するのは、当たり前のようですごく難しいことが、経験年数にかかわらず誰でもできることでありながら、同時にとても強力な武器になります。
若手に限らず、正確に数字をつかんでいる人は信頼感がありますよね。
続いてはこちら。
「大石さん、これはマナーではなく、お金の話です。うちの会社がクライアントに請求している金額を知っていますか?大石さんも一年目ながら、コンサルタントとして料金を請求しています。その額は、1時間に1万円といったところです。20分も休憩していれば、その料金は何千円もの金額になるのですよ。顧客は支払ったお金が何に使われているかを見ています。だから、プロフェッショナルな態度をとってください」
『「時間はお金」と認識する』より引用
毎日働いていると、休憩したくもなるし、同僚と雑談したくもなります。
しかし、私たち会社員が働く時間は全て、会社にとっての「コスト」です。
私もコンサルタントとして働いていると実感するのですが、それなりの金額をもらってクライアントと一緒に働くわけなので、やっぱり"決められた時間をしっかりと働く"ことが大切だったりします。
Time is Money - 時は金なり -、という格言がありますが、特に会社員として働く以上は「時間はお金」であることを意識して働くことが、成果を出すためには重要なことです。
このほかにも、実戦で役立つ知識が満載です!すぐに使えて、一生のキャリアに役立つテクニックを学びたい人はぜひ一度読んでみてください。
6. 雑談&コラム紹介 - 企業経営と個人のキャリア戦略は一緒!? -
最後は雑談のコーナー!
今回は少しコラムチックにいきたいと思います。
コンサルとして経営に近いところで仕事をすることが多いので、「経営理論」も当然仕事をする上で必要な知識なのですが、経営理論は個人のキャリアを考える上でもとても参考になるものだと感じています。
経営理論は、多くの企業に当てはまる普遍の法則として論文などにまとめられたもので、再現性も高いものです。
知っていれば誰でも使えるということです。
例えば「RBV (リソース・ベースド・ビュー)」という理論があります。
これは企業のリソース(=経営資源)に注目して、「模倣されない固有資源」をつくることを目的としたものです。
この考えを実現するためには4つの観点が必要となります。
① Value(経済価値): 資源が何に役立つのか
② Rarity(希少性): 資源の希少性の高さ
③ In-imitability(模倣困難性): 資源の真似しにくさ
④ Organization(組織): 資源を生かす環境
簡単にいうと、どんな価値を持っていて、希少さや真似しにくさがあるのか、そして資源を生かす仕組みや環境が整っているのかを見るためのフレームワークです。
この理論は企業が競合との競争に勝つために考えられたものですが、そのまま個人のキャリア戦略にも当てはまりますよね。
私たちも市場で評価されて年収を上げるためにはどれだけ「貴重な存在」になれるかが重要です。
そんな時にこの理論を使えば、自分が社会や企業に提供している価値を見直して、人材としての希少性や模倣困難性などを見つめ直すことができます。
そして、自分の自分の価値を他の人よりも高めるためにはどうすべきかというところまで考えてことにつながります。
こんな感じで、キャリアの戦略を考えるときは「経営理論」を使うとスムーズに考えられることが多いです。
経営理論はほかにもたくさんあるので気になった方は少し調べてみると良いかもしれません。
このマガジンでも今後も定期的に紹介したいと思います!
7. 終わりに
今週もここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
さらに良い情報をお届けできるように、コメントなど頂けましたら次回作も気合が入ります。
Twitterでも少しずつ発信しているので、気軽にフォローお待ちしております!
11月に入り、本格的に寒くなってきましたね〜...最近新しいプロジェクトが始まってかなり憂鬱です笑
ですが、悔いのない1年になるように今週も良い1週間を過ごしましょう!