
趣味を極めたゲーム会社 | データイースト
私の推したい会社は「データイースト」(愛称:デコ)です。
ゲーム会社です。もうありません。2003年になくなりました。
20年前の会社が、まだ私の推しの1つ。
デコでよく取り沙汰されるのは、「ヘンなゲームならまかせとけ!」のキャッチコピー、奇抜なゲームだと。しかし、私が推すのは、ジャンル幅の広さと作り込みです。
デコは、色んなジャンルに挑戦し、他社にはない独自のアクセントを必ず追加。他社を参考にするだけでなく、しっかり「遊び」を「ゲーム」を調べて深く考察して、小粒でもピリリと斬新さを加えてます。
「データイーストのすべて」って書籍が2023年に出るくらい、今もなおゲーマーの心に残っている会社です。
データイースト(デコ)
デコは、エピソードに事欠かない会社で有名です。
「変わったゲームなら任せろ」で、ハゲでデブなオッサンを主人公にしたり、泥棒のゲームを出したり。「デコゲー」「奇ゲー」なんて呼ばれることも。
格闘ゲームで、ストリートファイターのカプコンさんに訴訟されたのに、反撃して敗訴どころか和解したり。倒産前に「しいたけ栽培」してたり、「3日だけ倒産」したり。
今でもレトロゲーム界隈でよく話題にされます。
ですが、今回推すゲームは「王道」の3作品。
社員さんが「俺達の作ったゲームのどこがヘンなんだ!」と憤慨されたことすら、笑いネタにされますが。気持ちが良く分かります。
面白さに正面から真面目に取り組んだ、ゲーム開発者集団です。
趣味を極めたモノづくり
私の好きなデコゲー3つだけ厳選して紹介します。
❶スポーツ | フライングパワーディスク
エアホッケーとフリスビーを足したようなゲーム。
フリスビーでエアホッケーをするというか、エアホッケーをフリスビーサイズにしたというか。
世界観が良き。筋肉隆々の選手たちが投げるフリスビーに熱狂する観客。
私たちの世界では趣味や遊びの類でも、世界の重要な競技や産業になってる世界観。
漫画だと、ドッジボールのドッジ弾平、ミニ四駆のレッツ&ゴー、最近だとガンダムプラモのビルドオファイターズみたいな。遊びにマジになってる世界。
ゲームの動きも効果音も良く、パワフルさと爽快感があります。
さらに必殺技も!
ファミコンの「くにお君」のドッジボールやサッカーを思い出します。
エアホッケーとフリスビーを混ぜたゲーム性、遊びにマジになる世界観、必殺技のアクセント。
リアルの遊びをとことん突き詰めて、ゲームに落とし込んでいて、とても感動します。
❷レース | バックファイア
オフロードを周回するレースゲーム。
レースゲームといえば、今やマリオカートが長年の代名詞ですね。
しかし、このゲームは2点で斬新。
ドライバー視点でない珍しいゲームデザイン・知る人ぞ知る競技「ジムカーナ」に注目。
コースの幅が狭いのでシビアなドライビングテニックが必要。周回するので集中力と忍耐力も要求されます。
「ベリベリハードライト!」などのアナウンスも心地よい。
ドリフトは勿論、逆ハン(カウンターステア)の運動力学までも再現。
タイヤに注目して下さい。車体の向きが豊富なだけでなく、タイヤが別に動いてます。逆ハンしてるのが分かります。
他社がF1を題材にする中。知る人ぞ知るジムカーナに注目。更に逆ハンなどのリアリティをうまいことゲーム操作に落とし込んでいるのは見事の一言。
モータースポーツを調べ尽くし、面白さを見出し、ゲームに落とし込んでいます。
そして、エンディングがまた面白くて大好き。
ジムカーナのテクニックを魅せつつ、最後にブレイクダンス、そしてヘリコプターのように飛んでいきます。
ジムカーナの魅力を発揮した上で、ゲームならではのふざけた発想を入れる点に、競技への愛を感じます。
とってもガチなゲーム性でありながら、モータースポーツを愛する者の発想。実に素晴らしい!
❸ロボットアクション | ウルフファング 空牙2001
横スクロールのロボットアクションといえば、重装機兵ヴァルケンが有名(私はパワードギアも好きです)。
ウルフファングもハード系のゲーム。
横スクロールのロボットアクションゲームです。アクションとシューティングの間ぐらい(メタルスラッグのような)。
左から右への強制スクロールです。
強制スクロールは、自分のペースでプレイできないのがストレスになることもあるものですが。逆手にとった爽快感があります。
砲身や機体の向きを変えられるので、全方向に攻撃可。
ぐいぐいと敵陣深く分け入っていく感、追ってくる敵を払いつつ逃げ切る感が、忙しくも爽快感を生み出します。
さらに床は坂だけではなく、壁面がある点が本作独自のギミック。
奥の壁を走行して、ジャンプ以外の高低差を活かした戦略性だけでなく、奥行きを表現しています。
さらに壁を長い斜面として、スクロールを上下にも展開。
左から右への単調なスクロールが、上下にも変化してまさに縦横無尽。
壁を作り壁を走る。たったそれだけのシンプルなギミックが、ステージに幅を持たせている点が素晴らしい。
良いアイディアとはシンプルなのに奥行が深いもの(ヴァルキリープロファイルのバトルシステムとか)。
逆に色々とごちゃごちゃしているのは、スマートではありません。
ロボットがどうすれば格好良いのか。2次元だけど3次元的な要素をどう表現して伝えるか。とことん追求したゲームなので、硬派なロボットファンに愛されています。
趣味を極めたゲーム
以上3作品。
スポットの当たりにくいマイナー競技に注目したり、競技性やロボットの魅力を突き詰めたり、独自要素で更に面白くした熱意が、分かって頂けたら嬉しいです。
「趣味を極めた」からこそ出せたゲーム
よくある「自分の好きな作品に似たゲームを作りたい」「流行っているジャンルに便乗」のような受け身ではありません。
「真似事」でも「こなす」わけでもない、遊びをしっかり突き詰めて、ゲームに落とし込んで、さらに一歩踏み出す。
作るからには突き詰めて、自分たちなりのアクセントを加えて、さらに面白くしよう。
むしろ「面白さを伝えよう!」って気概さえ感じます。
データイーストは色んなジャンルのゲームを出してきました。
アクション、シューティング、パズル、RPG、アドベンチャー。こんなに幅の広い会社を私は知りません。
多くの企業を生み出し、愛され続けるゲームたち
デコは今はありません。
しかし、ゲームは今でも愛され続け、ライセンスを受け突いた企業さん、輩出されたクリエイターさんに魂は受け継がれています。
オリジナルのゲームにはプレミアがついて、高額。フライングパワーディスク(amazonで3万円超)、PS4版でも2万円超
ライセンスは複数の会社に分散され、各社から今でも遊べるように移植や復刻されています。
任天堂スイッチやスチームでも遊べる作品もありますし、「~ミニ」のようなゲーム機にもたくさん収録されています。>amazonの検索結果
デコで育ったクリエイターさんも、各会社で続編を作って、新作を期待できます。wikipediaより
例えば私が持っている「メタルマックス2:リローデッド」は,
ニンテンドーDSソフト。元々はスーパーファミコンのゲームです。大幅にリメイクされ、これもプレミア価格。amazonで3万円後半、メルカリで1万円超え。私はゲオで4,000円で買ってお得でした。
メタルサーガやメタルマックスゼノなど新作も出ました。ゼノならamazonでリーズナブルな価格ではあります。
推理ゲームの「神宮寺三郎シリーズ」も19作出ています。
多くのゲームが、オリジナルのレトロゲーム機でプレイされ続け、新しいゲーム機でも移植やリメイクが待たれてます。
ゲームが名作なのは勿論、ゲームクリエイターとして真摯な作り込み、ゲーム企業としても魅力があるからこそ、こんなに愛され続けているんだと思います。
まとめ
私にとって推せる会社は、今でも誰かに愛され続けている「製品」を出した会社です。
私は「現在」や「将来」ではなく、確実に評価できる「過去」を推します。
会社を推すとは「箱推し」のこと。
中の人を「先」に推すなんてナンセンス。
良い製品には、人や会社の魂が宿るんだから、製品から推せば良い。独りで出来ない事を成すために会社を作ります。独りの人ではなく、多くの人の力を結集させたからこそ、推せる製品やサービスが実現されます。
中の人が表に出て、ウェーイとバエる写真を出している。お前の会社は、タレント業か。まずは製品・サービスを出せ。顔出す暇があるなら、もっと良いものを作れるぞ。
○○さんが関わっているから面白そう、で痛い目にあったことはありませんか?
それは「推し」じゃなくて、ただの「信者」。
あの製品を出した会社だから、次回も期待したい! が会社推しでしょ。
社長や社員さんは、会社を推す「一要素」になれど、会社を推す理由にはなりません。どんなに面白そうな人でも経歴がすごい人でも、出している製品たちがゴミなら、私はその会社を推しません。
推されようが推されまいが、志がある会社は事を成します。
画家のゴッホだって生前は1枚しか絵が売れなかったと聞きます(数枚の説もあり)。それでも彼は画家の道を貫いた。事を成した。
データイーストのゲームは、今でも心に残り続け、今でもプレイされ、今でも動画が作られ、生配信もされてます。
そこから、どんなゲームクリエイターの方がいるんだろう、と興味が出て調べる。その人が今どこにいて、どんなゲーム出してる調べる。
ゲームクリエイターの方々は、私が推そうが推さまいが関係なく、自分の志でゲームを作り続けてる。その行動し続けた過去こそ推せます。
懐古厨だと言われればその通りですが。
最新のソシャゲや有名タイトルを追うのも良いですが、それらがなぜ面白いのか。その会社は、なんで面白いゲームを作り出せるのか。
ゲームや企業の歴史を気にしても、また面白いんじゃないかと。
ゲームはプレイして楽しいだけでなく。攻略本・企業にも魅力があります。更にプレイヤーによる生配信やRTAも盛んです。生配信ではリスナー同士での談義も面白く、新しい発見もあります。
大人になるとなかなか時間がなくて、難しいですが。子供の頃にやったゲームに偏ってしまい、新しいゲームができませんが。
プレイするだけでなく、見ても楽しめます。ゲームを見るだけでなく、楽しくプレイしている姿を見るのも嬉しい。
これからもゲーム業界は人々に楽しさを提供していきます。そんな業界の動きをみていたいと思い、Noteを書きました。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!