狐面イエリ「魔女の森」
こんにちは、Nollです。
今回は「魔女の森」という漫画(?)の感想を書いていこうと思います。全部で2巻あり、冊数で数えるよりも上下巻という方がしっくりきます。1巻の本編の後には作者さんが佳作受賞された「Happy end story」が掲載されています。2冊で2作品とおまけが楽しめるのは私としては大変お得に感じました。学生の時にはたくさん漫画を持っていましたが、大掃除をした際にこれ以外全部手放しました。手元に単行本として残っているのは、本当にこの上下巻だけです。今のところ、あまり「またあれ読み返したいな」という風に思わないので、自分にとって良かったことなのかもしれません。でも、これだけはまだ持っていたいと思いました。皆さんは一作品だけを選ぶとしたら何を選ばれるのでしょうか。
とはいえ、小説はわりと棚に残っているので、完全な厳選はまだこれからとなりそうです。
魔女の森
「魔女の森」は2015年にマックガーデンから刊行された物語です。本編はオムニバス形式になっており、どこから一つ取っても、最初からでも負担なく読めると思います。テーマは多様ですが、登場人物や世界は統一されているので、一個一個で覚えなくてはわからない、という風にはならないようになっていると思います。一話ごとに主要登場人物のあらましが描かれていてとても親切です。普通の女性に見える主人公の森の主人は実は何百歳も生きている魔女というのも面白いです。どこを切り取っても名言があるのですが、個人的にこれと覚えておきたいのは、「誰かの願いを他の誰かが叶えてはならない」という一言です。手を差し伸べたい、力になりたいと感じる事があっても代わりにその「願い」に干渉してはいけないというのです。自分への戒めにも思います。
他にも話そのもので、教訓のように頭に残るのが詰め込まれていました。それらも印象的です。
私が魅力に感じたのは、読んでいると漫画を手にしているというよりも、丁寧な絵本のような、挿絵が美しい小説のような、温かなアルバムのような錯覚を感じました。なので、最初にこういうことを書きますというのに、「漫画」としながらも、自分でももやっとしていました。どう書いたものかと。一通り終わってからの感覚がどうにも一致しなくて不思議に思いました。最近もう一度手に取ってみて、思うようになったのは、扱われているテーマが私に合ったものだったから、気に入っているのかもしれないということでした。なにか、追求するようなテーマが。絵を見ながらセリフやモノローグ以外のここを文章にするならなんとしたら、この描写を表せるのだろうと思うことが多々あります。ひとつひとつのつくりが大変細やかです。あとがきで知ったのですが、漫画の作者さんの師匠は現役作家「紅玉いづき」さんだそうでした。最後まで見てから驚きでした。今、note書きながら紅玉先生の「(前略)だから早くネームを通しなさい」という一言を見ると「早く書き上げなさい」という催促にも見えて「ひいっ」となりました。当時の先生の書き上げる大変さを思うと本当に頭が下がる想いです…。狐面先生の「好き」がたくさんもありますが、それも合わせてこの方のメッセージ全部が2冊に凝縮されているのがただただ凄い、圧倒されます。
おすすめの漫画を紹介してほしいと言われたときにこの作品を挙げます。この作品は自分にとって助けと思う事柄を見つけられたから重宝しました。だから、勧めた友人のプラスになることを見つけられるのではないかなと思ったからです。うまく勧められたかどうかは自分でもなんとも言えません。
Happy end story
当時、ものすごく流行ったドラマからインスピレーションを受けて想像された物語だそうです。「2015年 ドラマ」でぴんとくる人にはあれかと察しがついたかもしれません。ヒントはお酒です。もうそんなに経っていたんだという気もしてきます。早いですね。ちなみに私はそのドラマは観ていなかったので、へえそうなんだくらいの感覚でした。さてこの話ですが、冒頭でも触れましたが、狐面イエリ先生の受賞作です。本編より長さは短いですが、本編と似た深さがあったと思います。あまり書いて良さをネタバレしたくないため、感想を一言でも書くのが難しく感じます。言えるとしたら、「思いやり」が詰まったお話でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
もしも、気になってくださいましたら、ぜひご覧になっていただけると幸いです。
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