小津VS大島に始まる松竹ヌーベルバーグと新日正規軍VS維新軍 リキラリアット炸裂
日本映画界には、小津VS大島に始まる松竹ヌーベルバーグがありました。私の学生時代は、左翼っぽいヌーベルバーグが注目を集めてました。現在冷静に見て、引用されている文献や影響を受けた作品をみると、小津作品のほうが多いです。小津作品の奥の深さをようやく理解できるようになってきました。勤務していた職場の前理事長からは、『なんか地味なんだけど』言われたことが頭にのこっています。その反動で両手に受話器を持って売りや!買いや!と叫んでいる自分を想像し、兜町の風雲児に憧れがありました。派手な芝居のない小津映画を理解できませんでした。しかし、遅きに失することになりますが、小津監督がセットや小道具にこだわり、俳優にこだわり、演技にこだわり、最後は感情をおさえた芝居を要求したことを勉強しました。あらためて笠智衆を見るとセリフが少なく、若くて派手な岡田茉莉子や岩下志麻、もちろん原節子も表情を押さえた静かな動きをしています。よく言われている、小津映画は『俳句』や『能』であるの意味が少しだけわかった気がしました。
盛り上がっていた新日の正規軍VS維新軍を思い出しました。かかさずTVの中継を見てました。長州のラリアットの炸裂です。レスリング歴には輝かしいものがあるが、当時くすぶっていた長州を売り出すためのマーケティング(対藤波辰爾)の成功です。新人大島渚を売り出すためのマーケティング(対小津安二郎)です。