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サラリーマンシーズン開幕
4月1日からわたしの新しいサラリーマンシーズンが開幕した。
新しい会社、新しい仕事、とても楽しい。仕事がこんなに楽しいものなんて、何年も忘れていた感覚を取り戻しつつある。正直、日韓同時通訳という仕事をやらせてもらえるならそれだけで自分の勉強になるのに給料までいただけて恐縮ですと思えるくらい、いま働いていて楽しい。
今、会社は基本的に在宅勤務で、ZOOMで日本と韓国が会議をするときにわたしが通訳としてオンライン参加し、韓→日の同時通訳をやらせてもらっている。ZOOM会議の特性上、一方向しか通訳ができないため、日→韓は他の通訳さんが受け持つという通訳二人体制で会議が成り立っている。
通訳をしててよく聞かれる質問、そしてわたし自身も他の通訳さんにぜひ聞きたい質問がある。それは「日→韓が好きですか?韓→日が好きですか?」という問いだ。
日本語ネイティブとして韓→日通訳は‘‘韓国語のリスニング能力は足りない時がある、だけど日本語のアウトプットは流暢‘‘だ、というもので、反対に日→韓通訳は‘‘日本語は一語一句クリアに理解可能、しかしそれを韓国語でうまく言えないときがある‘‘というメリットデメリットをおのおの孕んでいる。
しかしこれに関しては、著名な通訳さんも同じ悩みを持っているようだった。ロシア語通訳の権威として知られる故・米原万里さんの著作に『不実な美女か貞淑なブスか』という題の本がある。ここでいう「不実な美女」と「貞淑なブス」とは次のような意味だ。
不実な美女=ロシア語を聞いて(リスニングは不正確かもだが)日本語で訳出し(流暢にできる)
貞淑なブス=日本語を聞いて(リスニングは完璧だが)ロシア語で訳出し(発音や表現が下手くそ)
米原万里さんですらこの悩みは抱えていたなら、いわんやわたしをや。また、日英通訳者として国際会議で活躍している関根マイクさんは、小さい頃から英語に親しみ?学生時代もアメリカで長く過ごしたため発音自体は両方ネイティブらしい。そんなメリットを生かして会議前には自らすすんで英語圏参加者に話しかけ、「自分はネイティブイングリッシュスピーカーの通訳ですからあなたの耳にストレスを与えないでしょう。ご安心を」というアピールをするらしい。
ここで勤務して10日間、「日本語お上手!」という誉め言葉をしばしばもらえているわたし。そうなんです、わたし日本語が上手なんです。びっくりしたでしょう。こんな感じでしばらくは不実な美女を享受することになりそうだ。美女がちやほやされているうちに、貞淑なブスのほうの整形手術に勤しまなければならない!