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【284字小説】夢の世界で暮らしたい

 ずっと寝ていたい。
 できるならもう起きることなく、夢の世界でずっと暮らしたい。
 永遠に……。

 その願いがとうとう叶った。
 もう起きる必要がない夢の国。
 とうとう私は理想郷を手に入れた。

「おかえり」
「あれ?お母さん?」
「結局あんた戻ってきたのね」
「え……?」
「『夢の世界で暮らす』って言って寝はじめて……。どうせ、そっちの世界がいやになったからまた夢の世界に逃亡しようと思ったんでしょ?」

 ———元の世界に戻った……だけ?

「いつまでそんなこと繰り返してるの?」

 そのとき悟った。

「そんなこと繰り返していると、自分の居場所を失うだけだよ」

 母の言葉、そのままのことを。


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