【ショートショート】「"気球はうどんの上に浮かぶもの"が常識の世界で」
「常識って何だろな」
「過去の足かせ…なのかもな」
「MN、君のお陰だ。君はラーメンでもフォーでも、麺なら何でも良かったはず。それなのに…」
MNは笑みを浮かべる。
「SB、君の好きな信州産でも十割でもなくて済まない」
「何を言っている。俺は蕎麦なら何でもいいんだ」
二人を乗せた気球の前方に蕎麦が見えてきた。
蕎麦の実を石臼で挽き、小麦粉を合わせて作った美しい麺。
それをサッと茹で、ザルに盛る。
薬味もない、海苔もない、何の衒いもない燦然と輝く流線型がそこにはあった。
うどんでもラーメンでも、スパゲッティでもフォーでもない。紛れもない蕎麦が、とうとう二人のそばまで来た。……蕎麦だけに。
「気球よ、あれが蕎麦のみだ」
MNは叫んだ。
ざるそばを指して。
そして二人は、気球で蕎麦の上を浮かぶ初めての人となった。
何気なくMNが放ったその言葉。
"気球よ、あれが蕎麦のみだ"
それは二人の偉業を讃える言葉として永遠に語り継がれるのである?
あっ!蝿!
👏
終
(410文字)
こちらの裏お題に参加しました!
何の衒いもなく、ストレートに立ち向かってみました笑
「誰かの言葉パクってね?」
と思った方!
その通りです笑
よろしくお願い致します🙇
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