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初めて読んだハン・ガンは、「白いもの」を通じて見つめた世界でした
隣国である韓国のことを知らない。
最初の会社の関連会社に韓国の人がいたので、ほんの少しだけハングルを勉強したこともある。以前、竹島のことを調べた際に、韓国と日本の歴史について結構調べたことがある。大森に住んでいた時、駅近くのキネカ大森という映画館で韓国映画特集をやっていたことがあって、何本も韓国映画を観たことがある。インスタで韓国のアーティストを数人フォローしている。
けれど、韓国に生活をしている人のことを理解していない。彼らが生活で感じていること、彼らのとらえている「人生」がどういうものか知らない。それは、西洋の小説よりずっと、韓国の文学を知らないからだと思う。
去年、ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞した時、そのことを思い出した。彼女の作品を読むことで、韓国のこと(彼らが人生で得ている視点)を知るいいきっかけになるんじゃないか。
誕生日に妻にもらった本の中に入っていた『すべての、白いものたちの』を読んだ。
最初の動機である、韓国の人を知る目的は叶わなかった。
エッセイのような短い文、詩と散文の間のような文章が、連綿と続く。生まれて2時間で亡くなった彼女の姉、生まれてすぐ亡くなった彼女の兄、彼らが生きていたら、彼女も、彼女の弟も生まれてこなかったかもしれない。生まれて、生きていてくれたら、姉はどういうことを感じただろう。白いもの(おくるみの布、雪、塩、米、…)を通して、自分の目、姉が生きていたら感じたであろうことが書かれていた。
ハン・ガンさんを手に取った最初の目的は叶わなかったが、彼女がどういうことを感じて、どういうふうに世界を見るのか少し理解できた気がした。今後彼女の本を読む時に、少し読みやすくなって、小説の内容をよりよく理解する助けになるかもしれない。
白いものの先にある空想に、少年の大江健三郎が葉を観察したように、 萩原朔太郎が草の根を観察したように、 彼女は見ているような気がした。彼らと表現は違うけれども、彼女の世界の見方に「観察する」姿勢を感じた。でもそれは、生まれてすぐに亡くなった姉に体を貸して、姉が初めて見る世界を書いたから、「観察」が強く出たのかもしれない。
本を読みだした時、少し周りの雑音が気になったので、イヤホンをして、音楽を聴きながら読んだ。ハン・ガンさんを読む時にいい曲をChatGPTに質問した。個人的には、Nils Frahm がちょうどよかった。
韓国人作家ハン・ガンの書いたものを読む時、ちょうどいい音楽は何があるでしょう?
ChatGPT:
ハン・ガンの作品は、感情的で内省的なトーンや繊細な表現が特徴的です。そのため、音楽を選ぶ際には、感情を深めつつも作品の邪魔をしないものが良いでしょう。以下のような音楽が適しているかもしれません:
韓国の伝統音楽やモダンな要素を取り入れたもの**Hwang Byungki(黄秉冀)**の伽耶琴(カヤグム)演奏:韓国の伝統的な弦楽器の柔らかな音色が、作品の静謐な雰囲気に合います。
Black String:韓国の伝統音楽と現代ジャズの融合で、ハン・ガンの現代的でありながら深い文化的背景を感じさせる作品にぴったりです。
現代のクラシック音楽Max Richterの「Sleep」:穏やかで瞑想的な楽曲が、内面的な探求や静かな時間に寄り添います。
Ólafur ArnaldsやNils Frahm:現代クラシックとエレクトロニカを融合した音楽が、ハン・ガンの物語の深層に共鳴します。
アンビエント音楽Brian Enoのアンビエント作品:「Music for Airports」や「Reflection」など、控えめで持続するサウンドが読書の集中を助けます。
Hammock:アンビエントとポストロックが融合した音楽で、感情を繊細に盛り上げます。
静かで感情的なピアノ音楽Ryuichi Sakamotoの「Playing the Piano」:ミニマルで感情的なピアノ曲が、ハン・ガンの詩的な文体を補完します。
Yirumaのピアノ曲:「River Flows in You」や「Kiss the Rain」などの韓国出身のピアニストによる楽曲が、穏やかな空間を作り出します。
これらの音楽は、ハン・ガンの作品がもつ感情や哲学的な深みをさらに引き立てるでしょう。気分や作品のテーマによって選んでみてください。
私がハン・ガンさんを読もうとした最初の目的、韓国の人の生活や人生の視点を得るには、『少年が来る』『菜食主義者』がいいかもしれない。
『少年が来る』は、1980 年5月に起きた、光州を中心とした民主化抗争で、命を落とした人、残された人の話。
『菜食主義者』は、急に肉食をやめた妻と、夫の関係を描いたもの、らしい。
すぐに次の作品を読もうとは思っていないけれど、次にハン・ガンさんを読むのをとても楽しみにしている。
※このnoteを抜粋して修正したものを、Amazonレビューに投稿しています。
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