クリエイティブになるための読書(87週目)
今週、「詩」にはあまりハマれない週だなと思っていたけれど、土曜日に読んだ高村光太郎の詩はよかった。劇的に感動した、というほどでもなかったので太字で記録してないけれど、よかった。「感想」に書いた通り、高村光太郎の詩を読む時は、感傷的な空気を持って読むことがあるので、特に感じやすい面は否めない。「評論」カテゴリーは、再読の「萬斎でござる」「アメリカ性革命報告」2冊を読了。「物語」は、司馬遼太郎の「故郷忘じがたく候」がとてもよかった。
クリエイティブになるための読書「毎日、物語1つ、詩を1つ、論考を1つ」を継続中。基本は平日のみ。はじめた頃は無料の青空文庫と、読み放題のKindle Unlimitedから読んでいた。その後、もっぱら図書館で借りていたのだが、2023年末に引っ越した際、部屋の整理が追い付かず、借りてきた本が売ってしまう本の中に埋もれては困る、と帰省の際に自分の部屋にあった本棚から持ってきて消化していた。今は、自分の本棚にあった本の他、主に、古書店で手に入れた本が中心。
当日、読む作品を選んでから読み終わるまで1時間くらいのことが多い。短い時は30分、長い時は2時間。毎日のことなので、できるだけ時間はかけたくない。
感想
詩
離れて暮らす息子のことを想う時(といってもバスで10分くらいの距離だが)、高村光太郎の詩を読む。高村光太郎に息子の要素を見ているわけではない。私よりはずっと手先が器用で、レゴやプラモと親和性が高く、一緒にゴジラ映画を観る時、その造形への評価と賛辞を忘れない息子は、私より、形に対して鋭敏な感覚を持っている。彫刻家でもある高村光太郎が、言葉にするものを読む時、どんなふうに息子が世界を見ているか、ちょっと触れた気になれる。今回も、獅子が左の肩をなめている様子、ロダンが額に皺を寄せる様子、といった箇所を読んでいると、その情景が目に浮かんだ。イメージを想起させる方法というものは確かにあるらしい。まったくの不得意分野だけれど。自分に取り入れる方法があるかわからないけれど、高村光太郎の詩は、時々触れたい。
評論
過去に、読了済の本。野村萬斎さんのことだけじゃなく、まったく知識のない狂言について、だいぶ見通しがよくなった。巻末には、「おすすめ狂言選」があって、短いストーリー付きで紹介されているので、入門書としてもいいかもしれない。いつか観に行こう。
今週も、現実世界では、政治家のシモの話が騒がしかった。
「鞭と政治家(「アメリカ性革命報告」)」によれば、政治家、権力者は性的な欲求が強いそう。変態性もその他の職業に比べて強めで、SMでは、Mがの比率が高くて、比率は、S:M=1:8。さて、件の党首はどうだろう。興味はまったくない。
山と音楽について。山と音楽はかけ離れていると感じていた串田孫一。山をテーマにした曲はあっても、どこか遠いと感じていたが、たまたま山中のラジオで聴いたモーツァルトがよかった、というお話。「フルートと絃楽のための四重奏曲ニ長調 二八五」「グラスハーモニカ、フルート、オーボエ、ヴィオラとチェロのためのアダージョとロンド 六一七」
物語
だいぶ前に読んで、再読… のはず。表題にもなっている「故郷忘じがたく候」がとてもよかった。十六世紀、朝鮮の役で薩摩に連れてこられた朝鮮の人たちの長い物語。鹿児島の苗代川(なえしろがわ)(現在の美山)に、行ってみたくなった。
実績
太字は、気になったもの、気に入ったもの
2024/11/11(月)
・【漢詩】天問(「中国名詩選(上)」)屈原
・日本経済危機の本質(「異端者の時代」)大前研一
・【物語】赤い富士(「剣客商売(三)」)池波正太郎
2024/11/12(火)
・【詩】小鳥が歌う/或る星の悲哀/贈物/真夜中(アポリネール・堀口大學訳)
・【評論】鞭と政治家(「アメリカ性革命報告」)立花隆
・【物語】親しげな悪魔(「おのぞみの結末」)星新一
2024/11/13(水)
・【詩】フィールドノート/詩の音(「現代詩の鑑賞101」)財部鳥子
・狂言師、未来に挑む/ようこそ、狂言の世界へ(「萬斎でござる」)野村萬斎
・【物語】衣裳戸棚(トオマス・マン短編集・実吉捷郎訳)
2024/11/14(木)
・【短歌】田谷鋭(「現代短歌の鑑賞101」)田谷鋭
・【評論】性の文化人類学(「アメリカ性革命報告」)立花隆
・【物語】故郷忘じがたく候(「故郷忘じがたく候」)司馬遼太郎
2024/11/15(金)
・【詩】川舟商人の妻―ある手紙/玉階の怨みごと/地下鉄の駅で(「アメリカ名詩選」)エズラ・パウンド
・「パクス・ブリタニカ」の智恵(「大英帝国衰亡史」)中西輝政
・【物語】わが子のために(「おのぞみの結末」)星新一
2024/11/16(土)
・【詩】傷をなめる獅子/車中のロダン(高村光太郎)
・【エッセイ】山の夜風(「山のパンセ」)串田孫一
・【物語】ゼロで割る(「あなたの人生の物語」)テッド・チャン
これまで読んだリスト
(同じことをしてみたい人のために。本を選ぶ参考にどうぞ)