上田誠さんの創作論。機能デザイン、骨格、先輩に学ぶ姿勢
「ほぼ日の學校」アドベントカレンダーです。
今回視聴した授業
とてもいいインタビューでした。はじめのうちは、創作に関する話が、日本語として理解できるものの、どう作品に落とし込まれていくのか、よく理解できませんでした。しかし、上田さんの子どもの頃のお話、これまでの実績に触れられた後、映画、ドラマ、演劇への活かされ方を聞いて、納得できた気がします。一気見すると疲れるかもしれませんが、特に最後のほう(「役との向き合い方」)は、なるほどこうやって作品に結実するのか! と思えます(作れるわけじゃないですが)。
ほぼ日乗組員のインタビュアーの方は、上田さんと「ヨーロッパ企画」に詳しいので、深掘りできたインタビューになったんだと思いますが、上田さんのことを知らなかった私が見ても、とてもおもしろいインタビューでした。
授業で学んだこと
ゲームに学んだ機能によるデザイン
子どもの時には、一年中、『スーパーマリオブラザーズ』のことばっかり考えていたことがあったそう。自由帳にステージのマップを描いたり、ビデオデッキ2台で、自分で録画編集して裏技集を作ったり。そうした経験は、劇の機能面からのデザインにも活きているそう。
多ジャンルに取り組むこと
上田さんは、扱うジャンルごとに特徴をつかむ。まずジャンルについて勉強するそう(ここをもっと聞きたい!)。どういうメディアなのか、ジャンルごとの特徴、制約をしっかりおさえる。さらに細かく、映画なら、邦画、洋画の違い。ドラマなら、放送時間帯の違い、配信とテレビの違い。
インタビュアーの質問に、答えにくそうな場面もあるけど、何を参考にしたか、何に驚いて理解したかということをしっかり記憶されているあたりがすごい。創作を行う場、ジャンルについて、その周りの環境や制約をものすごく意識されてる。
新しいものは、これまでに見たことがない "骨格" をしている
この話がまさに創作する上での骨格でもあるわけですけど、現時点では、私が自分の言い方に直せないところ。そういうものを上田さんは、言語化して、目指してる。骨格を意識できているから、演劇の他のジャンルとの違い、見せ方、見え方、の違いがあっても、おもしろいと感じる部分、変えていい部分がぶれないのだろう。
「世の中にないものを作りたい」という動機は、新しい骨格を見つけること、作ること。
言語と行動原理
言葉があれば、キャラクターもそう動くという話。ヤクザものだと、「ついてこい」って言えば、「誰がついてくかこのやろう」と反応する。逆に「ついてこれねーだろ!」っていうと、「余裕だ、バカ!」となる。
茶化されてるけど、まぁあるあるですね。
後輩であること
インタビューを見ながら、上田さんが、新しいことを学ぶ時のことを聞きたいと思っていたら、そのヒントがあった。
人だけの話じゃない。過去の自分たちの作品も、超えなきゃいけないと思うと大変だし、自分たちも観客も、思い出補正された作品を超えることはできないこともある。これを先輩が作った作品として受け取れば、参考にできるところは参考にしつつ、今の自分たちでもっとおもしろくできる箇所を探せばいい。
この話は、自分のキャリアを見てもそういうことが言えるかもしれない。過去うまくいったこと、その栄光にしがみつくのではなく、過去の自分の実績も、先輩がやったことと思って客観的に見れば、見習うところは見習えばいい。環境も時代も違うので、同じような線上で成功はできない。
ただ上田さんは、年齢的にも、キャリア的にも、後輩です、って顔して縮こまってもダメになってきたそう。
後輩が過ごしやすいよう、でも、周りの人に敬意を示しつつ、仕事をしていきたいと思った。
感想
とても勉強になるインタビューでした。自分が取り組む分野について、しっかり知ること。骨格・構造を見極めて、変えるべきところと変えないものを見定めること。それを学ぶ時、すべてのものは、先達・先輩だと思えば、いいところに気づける。年齢や立場じゃなく。学びの多い回でした。上田さんの作品、見ようと思います。