ハードルがめちゃくちゃ高い「好き」を獲得するこれからのマーケティング #マープス
無料のオンラインマーケティング講座「マープス」は第9回です。
池田さん単独講義では6回目。
「好かれる」はめちゃくちゃ難しい!!
昔、1980年代くらいまでは、商品パフォーマンスの差が目立っていました。だから、いわゆる商品の良し悪しで決まっていた。しかし、メーカーの努力、技術の進歩で商品の差があまり大きくなくなりました。
現在では「なんでこっちを選んだんですか?」と消費者に聞いても、「なんとなく…」という回答が増えています。なんとなく好きという理由で購入されているわけです。現在、好意と購入頻度は、かなり強い相関があります。
で、どうやったら好きになってもらえるか? これがやたらとハードルが高い。
まず好きになってもらうために、関心を持ってもらう必要があります。興味を持ってもらった上で、好きになってもらいます。誰もが一足飛びに、好意を持ってもらおうとしますが、興味持たれてないとダメです。
例えば、Yahoo!ニュースの記事は、1日約8,000本と言われています。このうちYahoo!ニュースのトピックスのトップページに並ぶのは、100本程度だそうです。一つ一つのニュースは、数時間で入れ替わります。メディアに記事として取り上げてもらう苦労はマーケティングの仕事をされている皆さんなら、ご存じでしょう。プレスリリース、プロモート活動を余程がんばらないと取り上げてもらえません。それをくぐりぬけた8,000本のニュースのうち、目に触れやすい記事は、なんと1.25%なのです。
池田さんは聞きます。
では、100本のうち、皆さんは、何本読んでますか? きっと数本でしょう。我々の興味関心の限界はその程度なんです。
バズれば売れる! と考えてしまう人が多いですが、バズることなんてそうそうないわけです。
興味(好意)>>>>>>>>>>>>>>>>関心>>>>>>>>>>>>>・・・・・・・・・・・・>>>>>>>>>>>>>>>>無関心
関心を持ってもらうことがすごく大変で、さらに、好意を持ってもらうことも大変なんです。
「好き」という感覚を狙って獲得していく
今後、マーケターは、は「好き」という感覚を狙ってあげていく必要があると池田さんは言います。
実際に、好意を獲得するための予算を取っている組織も増えているけれど、ほとんどの組織では、好意を狙って記事やイベントを仕掛けるまではできていませんし、好意をKGIにまで設定していないし、効果検証していないそうです。
潤沢に予算があれば、広告で認知は取れます。しかし、好意が獲得できていないため、そこから購入に至る割合がグッと下がります。これが広告の限界です。
自分ゴトにしてもらう
好意を獲得するヒントとして、山登りの話がありました。
2000年頃に「山に興味あるのか?」と尋ねると、多くの人からは「は?」という反応でした。ネガティブ要素が挙げられる趣味でした。
降りるのになぜ登るの? トイレ大変なんでしょ? 夏は虫多そう、シャワーもないんでしょ、…などなど
きっかけはたぶん2009年ノースフェイスやモンベルが山でファッションショーを行ったのがきっかけだそうです。
こうした取り組みから、だんだんと情報番組が取り上げられるようになります(世の中ゴト)。次に、インスタで、知人の投稿をちらちら見かけるようになります(仲間ゴト)。
「何が楽しいの?」「登ってどうだった?」と友だちや同僚に尋ね、
「登ったらわかるよ」なんて言われます。
情報番組、知人が登る、口コミと広がってついには、
(山はありなのか? 登ってみようか?)
という自分ゴト化に至ります。
インスタがすごいところ
インスタがすごいところは、上記でさんざん触れた、ハードルが高いとされる、好意を獲得することを一足飛びにやれてしまうことがあります。
現代人は、少しでも暇だな、と感じれば、すぐにスマホを触ります。じゃ、エレベーターの待ち時間に、検索窓にワードいれるか? ハッシュタグを調べるか? というと、そうはならないでしょう。
でも、虫眼鏡のアイコンはタップします。リコメンドされた画像(虫眼鏡ページ)は見ます。そこにあなたの「好き」の候補が並んでいるわけです。いきなり「好意」の獲得から入ることができます。
獲得した好意から、そこに映った商品のメーカーや商品を調べて、次の購入のタイミングで思い出してもらえます。
私が仕事としているBtoBだとどうでしょう? インスタみたいにシーンを切り取って、好意を獲得するのは難しそうですね。でも、好意から入ると言えば、最近は、少なくなった製品のユーザー会なんかはそうかもしれません。
特定技術のユーザー会、コミュニティはすでに関心を持った人が集まって、さらに興味関心の共有を図ります。その場が楽しそうであれば、周りからの参加者も呼び込めるかもしれませんね。
マーケターはどう行動すべきか?
PR脳を鍛えましょう! というのが池田さんの主張です。
これまでのマーケターは、広告を使って認知を獲得してきました。しかし、100回広告を見てもその商品を知っている状態にできるだけで、好きになるわけじゃありません。そこで、消費者・利用者の興味関心を探る、PR脳を鍛えようというのが池田さんの主張です。広告脳をPR脳に変えるには、トレーニングしないと絶対身につかないそうです。
そのための日常の行動として、書店の雑誌コーナーに行ってみよう、というお話がありました。
800円、1000円を払ってでも読みたくなるにはどういう見せ方をするのか?
雑誌の表紙を見れば、製粉会社がパン粉のCMを打つのではなく、danchuで「揚げ物」特集の企画を組むほうが「好き」を獲得できるし、プロテインの品質を訴えるよりも、筋トレで人生が変わることをアピールしたほうがいいことがわかるでしょう。
周波数を消費者に合わせる、関心・テーマを考えるPR脳を鍛えましょう!
そんな今日の課題図書はこちら