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不確実な時代を突破する思考術:エフェクチュエーションで新たな勝ち筋を探る #マープス

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本日はゲスト回。神戸大学マーケティングが専門の吉田満梨(よしだまり)先生によるエフェクチュエーション(高い不確実性に対して予測ではなくコントロールによって対処する思考様式)の解説、「不確実な時代を突破する思考術」回です

STP分析をして、新たな勝ち筋を見つけることができるか? 日々、マーケティングの仕事をしていて、それは難しいのでは? と思う日々を過ごしています。

恥ずかしながら、エフェクチュエーションのこと、まったく知りませんでした。が、こんな思考方法があるなら、間違いなく、実践しなくてはいけませんね。

優れたマーケターは、他者と価値を行き来しているので、すでにできているはずだと吉田満梨先生はおっしゃられましたが、果てして今の仕事の先にできるようになるのでしょうか?

★今日のnoteでわかること

  • エフェクチュエーションとは何か?

  • エフェクチュエーションの流れ、ポイント

  • エフェクチュエーションの事例(カモ井加工紙のマスキングテープの例)


■エフェクチュエーションとは何か?

エフェクチュエーションは、起業家の意思決定実験から発見されたサラス・サラスバシーさんによって提唱された概念で、不確実性に「予測」ではなく「コントロール」によって対処する思考方法のことです。

大変重要なことは、どのような特性を持つ人でも学習可能というところです。吉田満梨先生の話を最後までお話を伺っても、まだ信じられていませんが、信じたい話ですよね。吉田満梨先生自身、そう信じていらっしゃることはよく伝わりました。

これまでの経営学が重視してきた因果論(Causation)

・ニーズに基づき市場を特定する(目的や機会を明確にする)
・分析によって計画を策定(市場調査で、STP+コンセプトを特定する)
・理想的なポジショニングのためのマネジメント(資源の調達をして計画通りに実行)

マーケティングにおける価値提案は、「企業価値」「顧客価値」「協力的価値」が合わさったところ(共通部分)が、最適な価値になる。確かに成功した商品を見れば、そこに当てはまるが…

パイロットコーポレーションの「フリクションボール」

企業価値:「消せる篇」という新たな市場の開拓/同じ技術を他に転用
顧客価値:ボールペンで書いた文字を消せる/間違っても修正ペンが不要
協力的価値:(小売店)販売による利益/(共同開発者)同技術の他の商品の製造・販売

では、どうやって実現したか?

今では成功した緑茶飲料だが、緑茶飲料が出た時、当時、お茶は自宅で急須を使って入れるもので、タダ同然。そんなものが売れるはずはないと言われ、ニーズもなかった(アンケートでは買わない回答)。

■エフェクチュエーションのプロセス

・「手段を評価する」【手中の鳥の原則】
 ・自分は何者か?
 ・何を知っているのか?
 ・誰を知っているのか?
※フリクションボールの例:ノンカーボン紙の開発

・何ができるか?【許容可能な損失の原則】
※フリクションボールの例:熱で色が変わるインク開発

・パートナーシップの構築
※フリクションボールの例:筆記具は色が変わっては意味がない。紙コップ、印刷物、おもちゃへの転用
→・既知あるいは新たに出会う人たちとの相互作用【クレイジーキルトの原則】
→・パートナーのコミットメント獲得【レモネードの原則】
 →新たな手段の獲得【飛行機のパイロットの原則】→「手段を評価する」
 →新たな目的の獲得【飛行機のパイロットの原則】→「何ができるか?」

⇒透明になるインキはできないか?(欧州CEO)
 ヨーロッパの学生は、鉛筆ではなく万年筆などで書くため、消す液を別に持ち歩いていた【目的の変更】
 ⇒フリクションボールを発売して、発売8年で10億本のヒット!

■エフェクチュエーションの5原則

◆「手中の鳥」の原則

・・・目的ではなく手持ちの手段に基づいて着手する

私は誰か? 何を知っているか? 誰を知っているか? + 余剰資源

◆「許容可能な損失」の原則

・・・起きうる損失が許容できる範囲か?

・失敗しても再チャレンジできない?(行動しないことによる機会損失)
・失うものを最初に覚悟することで成功を求めなく済む。
①本当に必要な資源を考える
②何を失っても大丈夫かを考える

◆「クレイジーキルト」の原則

・・・あらゆる関与者に多様なコミットメントの提供を問いかけて、共創する

◆「レモネード」の原則

・・・偶然をポジティブに活用し、新たな行動を生み出す

・予期せぬ出来事/予期せぬ情報 を活用する(手持ちの資源をこれまでなかった方法で活用する、拡張する)

◆「飛行機のパイロット」の原則

(飛行機のパイロットの原則は、判断の話ではなく、エフェクチュエーション全体を通した原則)

コントロールできることから着手して、コントロールの可能性を広げる

マスキングテープの例(カモ井加工紙)

・工業用マスキングテープの製造をしていた
・文具オタクの女性3名が工場見学を申し出た(実は、同業他社にも申し入れていた。他社は断り、カモ井加工紙は、考えさせてと返信した)
・その後、熱意を訴えて、営業部門が工場見学を受け入れた
・かわいいテープを使いたい→小ロットの生産を依頼
・ロット数が合わず、一旦は断るが、担当した営業部門が、小ロットでも受注できる方法があることに気づいて、受注
・3名は、「かわいい」を広めるために、自主的に販路の開拓、パッケージ案、ブランド名などを提案
・SNSで拡散
・大手小売り企業から引き合い
・現在、20億を超える事業の柱に。

偶然の出会いを気に留めた営業部門が、3人の女性に協力したことで新たなリソースの使い方が見つかり、実際に作ってみたら、これまでとは違う使い方(目的)が見つかり、ヒットにつながった。存在するリソースを使って、出会いをいい形で実現して、目的が変わった商品が、売れた!

※参考


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のーどみたかひろ
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。

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