子どもと共感しあうためにできること
春分の日ですね。
昼と夜が同じ長さになる日、気づけば春の花が沢山咲き、さえずる鳥の種類が変わり、季節が変わったなと実感できるこの頃です。
何度か書いてきましたが、子育てにおいて大事にしたいことがあります。
それは親子でどれだけ共感しているか、ということ。
共感とは、同じことを感じて、同じ気持ちになることですが、それは双方向に働く感覚ですので、沢山共感の体験があればあるほど、親は子どものことが分かり、子どもも親のことが分かり、親子の摩擦が少なくなり、ストレスも少ない状態になれ、子育てがどんどん楽になっていきます。
ツーカーな気持ちを育てるのが、共感の体験にあるのです。
その『共感』を親子で育てるために出来ることの一つをご紹介したいのですが、それは、昔からずっと変わらず、
物を買わない
ことなのです。
物、というのはおもちゃだったり、その場で欲しがる食べ物だったりしますが、売っているものを買えば買うほど、なぜか共感のきずなが弱くなっていきます。
これは不思議ですが、そうだそうだと実感される方も多いことです。
今は魅力的なおもちゃが沢山売っていて、食べ物も子どもが欲しがるように、パッケージも可愛く、写真も美味しそうで宣伝も購買欲をそそります。欲しくなる、食べたくなる、買いたくなるのは当然です。
子どもが喜ぶなら・・・とつい買ってあげたくなる気持ちは、痛いほど分かりますし、当たり前だと思います。
ですが、頻回に売っているものを買っていると、一緒のことを感動したり喜んだり楽しんだり、親子の心情の交流という共感の力が、どんどん半比例して少なくなってしまうのです。
ものより思い出 というCMのキャッチコピーがありましたが
ここも実は少し気を付けたいところで、ものは買わないなら旅行や遊園地など、イベント的な思い出をたくさんすればよいのかと言うと、それも共感を感じにくくしてしまうことがあります。
ここで大切なのは、どちらもですが、当たり前のこと、小さな日常に、親から与えられた愛情を感じられるかどうか、なのです。
欲しいおもちゃの代わりには、では作ってあげるねと、だいぶ違っても工夫して作ってあげましょう。その方が心の本当のところでずっと子どもは嬉しいですし、共感を呼び覚ますものです。
小さなこと、ささいなことで喜ぶ力が共感を生みますが、その土台となるのは手間暇をかけたかどうか、そこに強烈にあるのです。
遊園地に行かなくても、毎日の行き帰りで蟻を見て楽しんでいたか、
空を見上げて雲の形に感動したり、夕焼けの美しさに見とれていたか
食べてみたいおやつやおかずを、買わないけれど似たものを作ってもらった、あるいは一緒に作って楽しかったか・・・
等々、市販に比べて地味かもしれませんが、その地味さこそが大切で、のちのちとても生きてくるのです。
地味であるかどうか、そこが子育てを楽に楽しくするための、大きな比重をしめてきます。
買うこと、特別なイベントを頻発させることは、その力をどんどん弱めてしまい、次に大きな刺激がないと喜べなくなっていくのですね。
ですので、買わずに少しでも工夫して作ってみること、日常のささいなことで時間を共有し、発見を喜ぶこと・・・子育てがどんどん楽になるためには、そこが大切な点なのです。これは私が今言い出したことでもなんでもなく、何百年も前から日本人が伝え続けてきた子育ての知恵にあることです。
これからいい季節になり、身近にたくさんの発見を楽しめる季節です。その時に、こんなことを少し心にとめていただけたら嬉しいです。