過保護と過干渉と
私は、昔ながらの子育ての知恵のほか、保育士時代に出会った、児童精神科医の故佐々木正美先生に今に通じる大きな影響を受けました。
最近、サロンでお母さんたちにお会いする中で、佐々木正美先生の、過保護と過干渉は違うというお話がよく心の中に浮かびます。
これはとても大切なお話なので、今一度お母さんたちにも伝えたいと思います。
先生は、子育ての上で、過保護は良くても過干渉は良くないと一貫しておっしゃっていました。一般的に過保護とは、子どもを過度に甘やかしたり、守りすぎることと、とらえられていると思います。過保護に育てるとわがままになる等、あまり良いイメージではないと思います。
ですが、佐々木先生のおっしゃる過保護の意味は、子どもが望んでいることをことを十分にしてあげることであり、それはやってあげすぎることはないと言います。
その一方で過干渉とは、子どもが望んでもいないことをやりすぎることです。
過保護も過干渉も、どちらもやりすぎることですが、子どもが望んでいることをやりすぎることと、望んでいないことやむしろ嫌がっていることをやりすぎることと、そこに大きな違いがあります。
つい、親は子どもに親の側の希望や期待だけをおしつけ(時として将来のためという大義のため)、子どもが本当は何をしたいのか、望んでいるのかを見ないで、実は嫌がっているかもしれないことを無理やりさせてしまいがちです。ある程度の結果が得られると、自分の満足感から、子どもを誉めてしまいます。
私の今まで出会ってきた方々から考えてみますと、幼児期から無理に字を読ませる・書かせる、本人の出来る範囲以上に習い事を上手に出来るようにさせることが、過干渉になりやすいと感じています。
佐々木先生が指摘するように、子どもは反抗できればまだよいですが、できない子は親に褒められるように頑張るために自分本来の自主性を見失って、それが思春期に出てくるようになるのですから、より根が深い問題となって出てきてしまいます。
自分の子育てが過干渉になっていないか、常に思い起こして気を付ける、そんな気持ちが必要なのではないかと思っています。
過保護についてですが、子どもが求めることをしてあげる、そこに注意点があるとすれば、金銭に頼らない、物質に頼らないということかと思います。
こどもが求めるもの=おもちゃが欲しい、市販の食べ物が欲しい、の場合、その都度要求に応えて買ってあげるという、そういうことではありません。
ものは買えば買うほど、逆にいつも満たされない物欲を助長することにつながりますから、何かを欲しいと言った時、買わないでどう工夫して応えられるかが求められるところです。
やはり手作りがいいのです。時期が幼ければ幼いほど手作りが良いですし、石や木や自然物でもいい、買わないで工夫してやってみることをすることで、子どもの心は必ず満たされ、ただものを買い与えるだけではない満足感が育っていきます。
そんなもので満足できないでしょ、と思うのは、親側なのですよね。下手でも見栄えが悪くても、作っている過程を見せて応えることが大切だと感じます。子どもは喜んでくれますし、その姿に親側の勝手な思いだったと気づくと思います。
佐々木正美先生の言葉はとても今の時代にも響く素敵な言葉が沢山ですので、検索されて読んでみてくださる方がいらしたらとても嬉しいです。