戦争が人間の本性を暴くのか
「人間の條件」第三部と第四部を観ました。
一部二部を観た時の感想はこちら。
えーっと、第三部始まって早速理不尽暴力のオンパレードなんですが。
軍隊って何なんだろうね、ほんとに…
召集逃れのために満州の鉱山で労務職に就いた梶。
しかし現地工人の脱走事件の責任を取らされ、結局召集されることになります。ここまでが第二部。
召集されたらされたで、今度は古参兵の陰湿ないびりを受けるハメになる。
ここで出会うのが、初年兵の田中邦衛と、左翼扱いを受けている佐藤慶です。
第三部はとにかく、この二人の素晴らしさに尽きる!
丸眼鏡をかけて漫画から飛び出したような風貌の田中邦衛。
まだデビューして間もない頃ですが、喋り方もあのまんまで田中邦衛は昔っから田中邦衛なんだなって感じ。あのヘタレっぷりは演技とは思えません。
兵舎のいじめに耐えかねトイレで自殺を図ろうとするも、「死ぬのはいつだって死ねる」と思いとどまる。その途端に…
もう不運としか言いようがない。
戦闘と無関係なところで命を落としていった人たちが一体どれだけいただろうね。
そして佐藤慶。
Wikipediaを確認すると、これが映画デビュー作になっている。これが!?本当に映画デビュー作がこれなの!?
それであのベテランのような佇まいは何事?とても新人とは思えないよ。凄いしか言えない。
途中、梶嫁の新珠三千代が訪ねてきてびっくり。追い返されるのかと思いきやお泊まりOKでこれもびっくり(笑)
まあそれが原因でまたいびられるわけですけど。
実際、こうして奥さんや恋人が訪ねてくるなんてことはあったのかなぁ。
「知覧からの手紙」という本には恋人(著者)が出征した彼氏を訪ねていく話があったけど(実話)、それとはまた状況がちょっと違うしなぁ。
※「知覧からの手紙」のはら的にめちゃくちゃおススメ本なのです。近いうちにご紹介したい。
第四部からは佐田啓二が第一部冒頭以来の登板!画面が突如潤う。
仲代もかっこいいけど、佐田啓二の美男子レベルは半端じゃありません。
初年兵から上等兵に格上げされた梶は初年兵の扱いを改めていこうとするも、当然周囲の反発を受けこれまで以上にいびりが酷くなり見てるこっちがキツい。
しかし状況が悪くなれば悪くなるほど、梶のキャラクターに人間味が出てくるというのがまたなんとも…
終盤の戦闘シーンは、戦闘そのものよりも人間が発狂している姿の方が圧倒的にインパクトが強いです。
千秋実のあの死に様。泡を吹く、あの瞬間の衝撃。その直後の梶の姿。
あのシーンに人を殺し殺される恐ろしさが凝縮されてるような気がして、悪い意味でちょっと忘れられそうにない。
やたらといびる古参兵ってのは戦争モノ見てるとだいたい登場しますけど、戦争行く前の普通に暮らしてた頃はどんな人たちだったんでしょうね。普通に仕事して、普通に優しい人たちだったんだろうか。
戦争が人を変えてしまうのか、それとも戦争がその人の「本性」を暴いてしまうのか。
どっちもあるのかもしれないけど、どっちにしても戦争が恐ろしいことに変わりはない。
さあ、次の休日はいよいよ第五部と第六部を観ますよ。
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