今田美桜さんのファンクラブイベントに参加した感想をエッセイ風に書いてみた①
ぼくは先日、今田美桜さんに会った。
というか、会いに行った。
2022年8月28日、品川インターシティホールにて開催された、今田美桜さんのファンクラブ(イマノミオ)初のオフラインイベント「メジ郎の会~夏祭り編~」に参加したのだ。
ファンクラブ開設当初から会員になり、当然のごとく今回のイベントにも応募したところ、見事当選した。
どれくらいの倍率だったのかはわからないが、落選してしまい悲しんでる方のツイートをたくさん見かけたので、ぼくが当選したのはかなり幸運だったのかもしれない。
抽選に当たった500名しか参加できない特別なイベントなだけに、とても楽しみだった。
なんてったって、あの今田美桜さんを画面越しではなく直接拝めるのだ。こんな機会、そうそうないだろう。
品川駅到着~開演まで
「メジ郎の会~夏祭り編~」開場時刻は14時、開演時刻は16時。
もちろん早めに行った。開場時刻の少し前に…ではなく、開場時刻2時間前の12時に。
これくらいの前乗りをかませばきっと前の方に並べるに違いない。そう思い、駅に着いてから呑気に会場へと足を運んだ。
だが、徐々に嫌な予感が芽生えきた。どう考えても「今日、僕は・私は、今田美桜さんに会いに来ました!」という雰囲気をぷんぷんさせている人たちがチラホラ散見されたのだ。
いや、実際はチラホラというよりも、うじゃうじゃだったかもしれない。
「え、もうこんなにいるの??みんな早くない?開くの2時間後だよ?」とか思いながら足早にもそもそと会場に向かうと、当然のように人が並んでいた。長蛇の列で。
ここでぼくは一旦引き返しトイレに向かった。これから長期戦を強いられるのだ。当然の判断である。
会場に戻り、さっきよりも少しだけ人が増えた列に大人しく並んだ。
ぼくは立ちながら2時間、本を読み続けた。文庫本が一冊読み終わってしまった。
2時間立ち続けたことによる微小な筋力と、2時間本を読み続けたことによる微小な知力が同時に身についた。きっと自分はここに並んでいる誰よりも、この2時間の待ち時間を有効活用したに違いないと自負した。
ふと後ろを振り返るとあまりの人の多さにギョッとした。長蛇の列に、ではなく、屈強な10人くらいの男たちが黒いスーツを着て立っていたからだ。
「有名人が来るとなるとこんなことになるのか…!」と、今田美桜さんに用意されたセキュリティの強さに、圧倒的に一般人である自分との間にある何か”人間的な価値の違い”を感じた。
特に感じる必要のない価値の違いである。
イベントに来場した人の7割くらいは女性だった。が、ぼくのような若い男性もいたし、ぼくのような「こういうイベント来るの初めてだから少し緊張するな……。てか知り合いいたらどうしよ」という仕草を見せるイベント童貞らしき人もいた。
14時。ついに開場した。時が満ちたのだ。
と思いきや、この時刻は限定グッズの販売の開場時刻であり、イベント開場にはまだ座れない時刻だった。
「なんやねん」
と静かに思いながら、せっかくの限定グッズ販売ということで、最も実用性がありそうなエコバッグ(500円)を買った。
右隅にメジ郎がプリントされているだけのシンプルなデザインは、ぼくのようにファンであることを静かに楽しみたい人にとって大変ありがたかった。
印籠のごとく今田さんのお顔がでんとプリントされたTシャツは、実家暮らしの学生には少しハードルが高い。(値段の問題ではなく…わかりますよね?この感じ)
特に恥ずべきことではないが、とにかくハードルが高いのだ。
仕方がないので近くのマックで16時まで暇をつぶした。
ぼくはバッグから当然のように二冊目の文庫本を取り出し、やや冷房が効きすぎている店内で読み始めた。
しばらくすると、隣にひとりの男性が座ってきた。大量の今田美桜さんの限定グッズを携えて。(すべての商品が一人ひとつなのでおそらく全種類買ったのだろう)
「ええ!?すごい!そんなに買ったの?」
途端に、チキってエコバッグしか買わなかった自分がとんでもなく小さな人間に思えてきた。
実家暮らしだから…とか、学生だから…とか言ってる場合ではなかったのかもしれない。どんと胸を張ればよかったのだ。
ぼくは本を読んで暇をつぶす達人なのだろう。開演時刻まではあっという間だった。
どうやら、この年ですでに一人で過ごす時間の使い方を覚えてしまったようだ。
いざ開場に入ろうとすると、その前に荷物検査と金属探知機が待っていた。
「ここは空港かぁぁ!」
と、心のなかで千鳥のノブのようなツッコミをした。
「有名人が来るとなるとこんなことになるのか…」
今田美桜さんに向けられたセキュリティの強さと、圧倒的に一般人の自分との間にある何か”人間的な価値の違い”を感じた気がした。本日2回目である。
16時を少し過ぎたあたりから順次、予め指定されていた席に案内され始め、来場者がぞろぞろと指定された席に座り始めた。
ぼくの席は、前から22列目のやや後ろの方だった。
思ったよりもステージから遠かったので、少ししょんぼりした。
しかも、席同士がかなり近く、性別でゾーンが分けられているため、「むさくるしい男たちに囲まれながら、今田美桜さんを拝む」という構図になってしまい、自分がそのむさくるしい男の一人であることに何となくの恥じらいを感じた。
これも特に感じる必要のない恥じらいである。堂々としていればいいのだ。
開始時刻になるまで、会場には今田美桜さんが広告塔となっている歴代のCMが流れていた。
改めてみると、今田美桜さんは髪型によって本当にまったく違った印象になるからスゴイ。
髪を肩に流していると大人っぽい印象になるが、オールバックのときは少し強めの印象を受ける。
もっとおもしろいのが、髪を肩に流している大人っぽい印象のときも、時たま幼い女の子のような印象を受けるときがあるということだ。
きっと様々な魅せ方ができるのも、女優さんとして必要な資質なのだろう。
※以降の文章はかなり時間が経ってから書いているため、記憶があいまいなところがある。m(__)m
開演
16時。ついにイベントが開演された。
気づいたらステージに今田美桜さんが立っていた。
「おお、ホンモノだ…!」
そう思うと同時に、もうひとつ思ったことがあった。
今田美桜さんの顔が小さすぎて、よく見えないのだ。
なんということだ。やっぱり席が遠すぎるのだ。なんだよ、22列目って。映画じゃないんだから。
ただ、これは席の問題というよりも、ぼく自身の目の悪さの問題でもあった。しっかりコンタクトをしていたが、度がイマイチ合っていないようで、ずっと今田美桜さんのお顔はぼんやりしていた。
完全なる失態。私はひとりのバカであった。
後世に残すアドバイスのひとつに、「有名人のイベントに行くときは、必ず度がしっかり合ったコンタクトをしていくこと」が加わった。どうか肝に銘じてほしい。
さて、肝心のイベントの内容だが、これを書いている日がすでにイベントから半年以上経っているのでよく覚えていない。
ただ、クイズが出され、そのクイズに全問正解すれば、何かもらえたような気がする。今田美桜さんのサイン付きで。
だが、ぼくは今田美桜さんのファンではあっても、マニアではないのでまったくわからなかった。彼女が出演しているドラマも見ていなかったのだから、しょうがない。(当時、今田美桜さんは『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』というドラマで主演を務めていた)
ぼくが半年経っても覚えているのは、コンタクトの度があってなくて今田美桜さんのお顔がぼやけまくっていたことと、ファンクラブのマスコットキャラクターである「メジ郎」(着ぐるみ)が登場した、ということである。
今田美桜さんとは引き換えに、ヤツ(メジ郎)の顔はしっかりと見えた。ヤツの顔はおっきかったから。でんとしていた。でん、と。