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ひとものこと|「乃木坂しん」にとっての器とは
「乃木坂しん」支配人 兼 ソムリエの飛田泰秀による連載エッセイ「ひと・もの・ことで命を吹き込む」の第5回は、乃木坂しんの「器」について。
オリンピックが終わり、いろいろと悩む思い出の年となった2021年の夏、過ぎてしまえば「何とかなったね~」と思える日が来るだろうと信じ、暦の上ではもう「秋」か、などとおぼろげに季節のうつろいを感じております。
少しご無沙汰していたこのnote、最近いろいろなことが少し億劫になっていて、中々筆を進めずにおりました。というのも、この先どの様にこれを書き進めていくのか、また、自分がここで何を表現していきたいのかに迷いが生じたからだと思います。
そうなってしまうと一向に筆が進みません。元来、不精な私ですから、ええ、全く進まないのです。と、もたもたとしていたら早一カ月が過ぎてしまいました(江六前さんごめんなさい)。
器にかけるコストで店の価値が決まるわけではない
そんな訳で、今回は迷っていることには触れずに、気分を変えて当店で使用している器について書いていきたいなと思います。
さて、「器」と一言でいっても実にいろいろな意味で難しいですよね。難しいというのはその種類や歴史、品定めはもちろんのこと、私たち飲食店を経営している側からすると、かけるコストとのバランスなども関係してきます。コストをかけるべきなのか、抑えるべきなのか。
これ、結果から言うと、自己満足的な部分が往々にしてあるのではないかなと思います。自分が好きか否か、その器を使いたいのか、ほしいのか、その器に自分の料理を盛ってお客様にお出しして喜んでもらいたいのか、等々です。
だから、お店によっては器にコストをかけないお店もあったりします。いくつかのギャラリーの方々にお話を伺うと、器に興味を持って気を使っている料理人さんは全体の3割ぐらいなのではないだろうかとのこと。残りの方は俗にいう廉価版や模倣版とでもいうのでしょうか、そのようなタイプを使われる方も多いそうです。
じつは多くの料理屋がそれほど器にはコストをかけていないのが現状だそうです。
もちろんこれはどちらが正しいとかいう事ではありません。あるお店は一生懸命に価格を抑えてお客様に少しでも良いものを低価格で提供しようとしていたりするわけで、お店の客単価や経営体制を見極めながらコストバランスを整えていくことも非常に重要なことだと思います。
また、ただやたらと良いものを買いそろえて並べても、それはそれで活かしきれていないのではないかなと思ったりもします。なぜなら、器にコストをかけずとも、提供されるお料理の内容やスタイルによっては様々な創意工夫を凝らすことができるからです。
たとえば、日本料理では竹を割って器にしたり、笹の葉で巻いたり、蓮の葉や杉板などを器にしたり、氷を使ったりと木々や葉物などで季節を表現し、器にするような工夫もできます(実は、これはこれでとてもコストがかかったりもしますが)。西洋料理では様々なプレゼンテーションや器の組み合わせでお客様に面白さやサプライズを提供することが出来きます。
では、「乃木坂しん」にとっての器とはどういう位置なのでしょうか。私も石田も器は大好きで、それはそれはとても大事なものだと思っています。
とはいえ、お金は無限にあるものではありません。いや、むしろお店を始めたときから今までずっとありません(笑)。
それでもお客様に助けていただき、何とかここまで生き残れておりますので、日々感謝の気持ちを忘れずに、もちろん器においてだけではなく、少しずつでも良くしていこう、思いついてできることはやっていこうと努めております。
振り返ればオープン当時は限られた予算の中でどうやって揃えていこうか、いや、むしろどうやって自分に言い聞かせて我慢しようかということばかりでした。
そんな中で思いついたのが、今や恒例ともなっている器の会でした。それを「とべとべくさ」のご主人である伊藤さんに相談してみたところ、とても面白そうなので、やってみていただけるか、作家さんに相談してみましょうということでスタートしました。
そして、始めるにあたり最初に相談した作家さんが山口真人さんだったのです。
(次回の「ひと・もの・ことで命を吹き込む」に続きます)
乃木坂しん 支配人 兼 ソムリエ
飛田泰秀
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乃木坂しん
東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1F
☎03-6721-0086
ランチ(水〜土) 12:00〜15:00(13:00LO、*前日までの予約制)
おまかせ10,000円、15,000円、18,000円
ディナー(月〜土) 17:30〜23:00(21:30LO)
おまかせ 15,000円、18,000円、28,000円
※消費税、サービス料10%別
※緊急事態宣言中は、夜の営業時間を変更して営業しておりますので、店舗までお問い合わせください。
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次回のnote更新では「乃木坂しんの先っぽ」、好評をいただいているお弁当についてです。お楽しみに!
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編集・写真=江六前一郎