【読書メモ】へんなの (国崎和也著)
今日が30日連続投稿チャレンジの最終日である。読む本は決めていた。
お笑い芸人、ランジャタイ国崎のエッセイ「へんなの」である。
ランジャタイ国崎のことをよく知らない人はとりあえずこちらのnoteの記事を読んでいただきたい。
変なライター名だがランジャタイ国崎本人である。彼の書く文章が本当に好きなのだ。ドンキーコングの話を読んでもらったら分かると思うが、決して常人には真似できない、ぶっ飛んでる唯一無二の文体。こんなに読んでて笑える文章はない。かと思いきや、じいちゃんの話ではいきなり泣かせてくる。振り幅がすごい。
ランジャタイはコロナ禍にYoutubeのライブ配信を見てたら好きになった。2人ともいい大人なのに信じられないくらいお金が無くて、それなのにずっとケラケラ笑いながら話してて、なんて明るい人たちなんだと思った。
そんなランジャタイも徐々に売れ始めて、2021年のM-1ついに決勝の舞台に立った。風に飛ばされた猫が耳の穴から身体に入り体内での冒険を繰り広げる奇想天外な漫才を披露した。その落語のような漫才は志らく師匠に絶賛され、それが本当に嬉しかったのをよく覚えている。
彼のnoteは全記事繰り返し読むくらい好きだったが、ついにエッセイ本が出たのだ。これは読まずにはいられない。でも読むのがもったいない。とか思っていたら1年半が過ぎてしまった。まあそんなコトもあるよね。なのでこの機会に、30日連続投稿を達成した自分へのご褒美として読んでいく。
感想(ネタバレあり)
ランジャタイ国崎のエッセイは年を取ってから読んだほうが面白いと思う。子どもの頃のエピソードが豊富で、どれもめちゃくちゃ笑えるのに哀愁があって、懐かしいような切ないような不思議な気持ちになる。情景描写も繊細で、本当に読んでて小学生の頃の夏休みがフラッシュバックした。特にここが好きだった。
(自分も子どもの頃、この歌好きだったな~。)
また、この本は国崎がこれまでお世話になってきた人たちへの手紙でもあったように思う。「こんなことありましたよね、楽しかったですよね、僕は元気にやってます、また会いましょう。」というのを本にしている。どのエピソードからも彼が人から愛されるのがよく分かる。一体どうやったらバイト先の元ホームレスのおじさんと仲良くなって、一緒にホームレスの友達に会いに行く人生を歩めるんだ。
全部ひっくるめて美しいエッセイ集だと思った。
そして、その美しいエッセイたちが全部フリだった。やられた。
最後「漫☆画太郎先生、だぁ~い好き♥」というエッセイの後に漫☆画太郎先生直々の描き下ろし漫画が載っているのだが、これがとにかくひどい。あなたが想像している100倍はひどい。とてもじゃないが詳しく説明できないが、熱心なフェミニストの方が読んだら憤死する勢いのひどさとでも言っておこう。表紙は何かちょっとかわいらしい感じの絵本みたいで子どもに与えたくなるが、決してそんなことをしてはいけない。好きな人に贈り物としてあげても絶対にいけない。そんな特級呪物のクソ漫画が最後にある。
エッセイの中にこんな一文がある。
まさにこれだ。これが伏線だったのかもしれない。
この本も、それまで積み上げてきた美しいエッセイと読者の感動を、最後の最後に漫☆画太郎先生の漫画がすべてぶち壊しにする。
愛犬とかおじいちゃんとかの話で出ていた涙は最後カラッカラに乾くであろう。でもそれが国崎和也という男の狙い、いや願いなのだ。私もまんまと引っかかった。最後の漫画を読んで呆然としていたとき、国崎が自分の後ろでケラケラと笑っている気がした。
エッセイを出すという行為そのものをすべてフリに使った見事な作品。ぜひ手にとって体験していただきたい。
それにしても、本当にひどすぎて笑いが止まらない。出版社の方もこれにGOサイン出すの相当苦労したんだろうな・・。
以上です。これにて30日連続投稿達成しました。しんどかったけど何とか途中で辞めずに続けられたなあ。
育休中、暇だったので何か生産的な活動がしたくなり初めたnote。書くことはそれなりに楽しかったので、もう毎日は投稿はしませんが、今後もほそぼそと続けていこうと思います。
ROM専だったXのアカウントをnote用にしたので、無いとは思いますがもしご用件のある方がいればこちらからどうぞ。
https://twitter.com/alamid75897362
それでは、また。