【読み切り感想】偽王纈は占いができない / もといも先生【花とゆめ2024.18号】
あらすじ
神を降ろし国の行く末を占う王のいる国で、新しく即位した王・纈(ゆはた)。寝床と食事があればいいという意識の低さで見習い親衛隊に入隊している瑤(よう)。ご神木のうえで寝ていた瑤は纈が襲われている場面に遭遇し、助けたことから王の傍仕えに任命される。纈が実は神を降ろしておらず占いのできない王だと知らされるが、並外れた努力と知識で補ってきたことを知り、力になりたいと思うようになる。
すきだったところ
・もといも先生の異国ファンタジーだいすき、嬉しい。
・この主従のわちゃわちゃが楽しくてめちゃくちゃすきです。もといも先生の描かれる会話のテンポのよさ、すき。
・憂くんとかいうビジュ爆発世話焼き男、よすぎないか……?癖に刺さる刺さる。瑤が「憂くん」呼びして懐いてるのもすごいよくてかわいい。兄妹みたい。
・憂くんに気を取られてしまいがちなのですけど、纈さまもめっちゃ美形なんだろうな~でもなかなか風当たりも強そうで……この男に微笑まれたら落ちない女はいなさそうなもんですけれど……。p165の「にこ」顔がとってもすき。
・身の危険を感じた瑤がまっさきに助けを求めて呼ぶのが「憂くん」なの、めっちゃいいな~いい関係性。ことあるごとに憂くんを呼ぶのは懐いてるからなのですけど纈さま嫉妬するよたぶん。
・瑤が食いしん坊でおいしそうに食べるのめっちゃ可愛くてよかった。p178の「うま…」の瑤ちゃんかわいくてすき。
・p198の見開きがすっごくよかった。向かい合うふたり、このふたりの歴史のいちページに確実に刻まれるシーン……。
・すべての修行を行っているの、神が纈に期待したからじゃなくて神をなんとかおろそうとした纈が自主的に行ったからとあとからわかるのすごいよかった。纈さま……たったひとりで頑張ってきたのだろうか……
・纈ってそもそもどういう意味……? 王名としていただいたもの? 本名? それとも本名は別にあるのかな?
・もといも先生、余計な人物を排除してまず「このふたりの話ですよ!」をいちばん丁寧にやってくれるので読みやすくていい。異能を平凡な知識や地道な努力で補うかつそれを他者にはばれないようにする系のお話すごくすきなのでわくわくした。纈さまがこうやって占いに見せかけた知識で解決していくの見たい。
もうすこしほしかったところ
・お顔のパースがたまに偏りがちでしかもそれがどアップのときだったりするので……。
・読んだら楽しいのはわかっているのだけどもといも先生のファンタジー、読み始めるのがちょっと億劫で……でも最後のあの見開きは大好きだったので、なんだろな……説明があんまり入ってこなくて……王と占いの関係のところ、正直よくわからなかった。どっちが先? すごい占い師を王にしたのか、王がすごい占い師なのか、でも家系の話もでていたので……
・そもそも先代王の母親は亡くなったの? 纈が占いをできないことは誰も知らないの? 母や周りもだましているの? そうだとして、母は占いで知ることもできそうなものだけど、そもそもここで定義されている占いとは……。
・神と占いの国で、王が神というわけではなさそう(おろしているだけ? 力を借りている?)なので国民は神がいると信じている前提でいいのかな、それなら纈が占いをできない=神がいない、にはならないはず。纈自身が神はいないと思うのはともかく、瑤ちゃんまで「神はいない」になるのがよくわからなかった。p172のところ。
・そもたぶん核心的に、「この世界に神がいるかどうかを纈自身は信じていないけど、国が侵略されないように人々に占いができるふりをしている」のではないはずなので、神はほんとうにいる(けれど纈には降りなかった)という世界観にするのはどうかなあ……?