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【映画感想】語らせてRRR:おかわり鑑賞時の補足情報
超いまさら感がありますが、日本で大旋風を巻き起こしている「RRR」について、ご多分に漏れず「おもしろすぎるやろがい・・・!」となっておりますので、感想を残しておこうと思います。
インドでの公開がはじまった2022年3月あたり、インドの友人たちから「やばい映画が出た」「最近の映画はほぼタイムパスのレベルだが、その俺が映画館で5回観るレベル」など、RRRを称賛するメッセージが次々と送れられてきたので、ラージャマウリ監督がまたすごいのを作ったんだなというのは知っていました。
※タイムパスの映画とは:「暇つぶし」程度に観る映画の意。インド人はよく使うが、他の国では使われているのかは不明。
日本で公開されてからすでに4回鑑賞していますが、本当に毎回発見があっておもしろい!インドのことに詳しくない方でも十分おもしろいですが、知っておくとおかわり鑑賞時にもっと楽しくなるポイントをまとめてみました。
2人の主人公:設定の背景を知るともっとおもしろい
2人の主人公、ラーマとビームは、実在した革命家をモデルにしています。日本にもゆかりのあるチャンドラ・ボースくらいは知っていたけど、イギリス統治時代にはたくさんの革命家がいたんだなと勉強になりました(エンドロールの歌で各州の革命家が紹介されていますね。)
その他にも、主人公のレファレンスとして、インド好きなら(インド神話好きなら)嬉しくなる要素がてんこ盛りに盛り込まれています。こんな感じです。(多分あってる)
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映画の序盤は革命家色が強いけれど、物語が進むにつれて、2人が神に近づいていく感じが胸アツです。特にラーマは、見た目もラーマ神すぎて映画館で悶えてしまいましたね。
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ラーマーヤナやマハーバーラタの概要や、ラーマ神やハヌマーンの見た目を知ってからRRRを観ると、鑑賞後の興奮度2倍増しになるでしょう。
立ち上がる群衆:宗教を知るともっとおもしろい
冒頭の、ラーマによる「1対多 なぎ倒し作戦」は圧巻のシーンですよね!あのシーンは、イギリスへの復讐に燃えるラーマが、力と暴力のみで目的を達成しようとする様を短く完璧に描いていると思いました。
このシーンで、集まっていた群衆は、暴力に屈服してしまうんですよね。
一方、中盤で、ビームが捕まってしまい、ラーマにムチ打ちの刑に処されるシーンも描かれます。
ここでビーマは、超怪力を使ってラーマをぶっ倒す!ではなく、なんと「歌」を歌うんですよね・・・。「自然の子」ビームが、”いま屈したら母なる自然(つまりインド)に申し訳がたたない”、という意味の歌を歌い、それに心を動かされた群衆が立ち上がり、イギリス軍に向かっていくというくだり。胸アツすぎませんか・・・。最初のラーマの、1対多のアクションシーンとの対比(暴力で結果を出す < みんなで結託する)も素晴らしいです。
このシーンで注目したいのが、群衆の構成です。立ち上がろうとする群衆をみていると、ヒンドゥー教徒、シーク教徒、イスラーム教徒と、多様な宗教バックグラウンドをもつ人々から構成されているのがわかります。(服装などからわかる)
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インドのために、宗教を超えて立ち上がろうとする人々の描写、涙なしでは観ることのできないシーンですここは・・・。
インドは多宗教国家で、ムガル帝国の中~後期くらいまではヒンドゥー教徒とイスラーム教徒は特にお互いを異教徒扱いせず暮らしていたのですが、イギリス統治時代を境に宗教対立が決定的になってしまったんですよね。そういう近代の事情に思いを馳せてしまいます。
ビーマがマッリを助けるためデリー市内で潜伏調査している際、ビームはムスリムに偽装していましたが、ヒンドゥー教徒をかくまうムスリム家庭の描写にも、ぐっとくるものがありました。
ブロマンスここに極まれり
バディー映画は数あれど、ここまで濃厚なブロマンス映画は久々に観ました。少年ジャンプ全盛期に少年少女だった方々は、胸躍るシーンが多かったのではないでしょうか。
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思い出してください。この2人のレファレンスが、別々の神話から取られていることを・・・。
これは伝わりにくいかもしれないですが、ラーマーヤナとマハーバーラタの登場人物が、ひとところに存在している様を映画で観ているということに、私は得も言われぬ感動を覚えました。
神様同士のブロマンスって、ぶっ飛びすぎじゃないですか。いやすごい・・・。
ちなみに、インド映画でおすすめのブロマンス映画はこんなところです(太字は、つい最近までNetflixにもありました)。
きっと、うまくいく
Rang de Basanti
Kai Po Che
Andaz apna apna
Sholey(日本で特別公開してほしいなー)
Munna bhaiシリーズ(日本で特別公開してほしいなー)
一番のびっくり要素
色々と書いてきましたが、私は一番驚いたのは、原案を手掛ける「K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード」氏は、なんとラジャマウリ監督のお父さん・・・。御年80歳。すごすぎます。あっぱれRRR!